。しりあす*長編

□シリアス3
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「おい。藤城」


希は七海と錫也に引きとめられた


「あ、おはよ〜」


寝むそうに返事を返す


「お前、月子にまとわりついてる男殴ったのかよ?」


「あら。何で知ってんの?」


ぽけっとした顔の希


「何でそんな危険な事するんだ?」


「ウチがそうすればつっこにはもう行かなくなるでしょ?」


錫也がため息をつく


「そうゆう事は俺等がするから。藤城は何もしなくて良い」


「・・・もう授業始まるよ^^」





何もしなくて良い



お前なんか要らない



希にはそう聞こえた



錫也はそうゆう意味で言ったわけではないのに

わかってるのにどうしてもそう考えてしまう


『なんつーーネガティブ女だウチは』


無理にでも笑った





希が席につく

『ん?』


机に何か紙切れが入ってる


【屋上に昼休み来い】



今時手紙で呼び出し

笑えるなぁ


フッと笑みを浮かべた希に七海はチラッと目をやった


クシャッと丸めた紙に見えた文字



『屋上?こいつ告白でもされんのか?』


あまり気にしなかった






〜昼休み〜


「来たよー。で?」


あの男と希が2人きりになる


「女のくせに生きがんなよ」

そう言って後ろに隠してあった野球バットを振りかざす


「っ!!」


素手と武器とじゃ差は当然出る


腕に走った激痛に気を取られてると鈍い音と共に次の場所にも痛みが走る



希は男の振りかざすバットをやっと受け止め殴りかかった


「ぐっ・・・」


急所を確実に突いたため男はひるむ


立てないほど全身を殴って、蹴った


「ハァッ・・・男のプライドゼロ?武器とか使って恥じじゃないの?まぁ勝ったけど。」


希も立つのが限界になってきた


足早に屋上を出た


図書室の倉庫で体を休める


倉庫なら誰も来ない


「いった・・・」


アザが出来てる

とりあえず学校が終わるまでこの怪我は誰にも知られないようにしないと


休み時間に何があったって、聞かれるのも面倒だ




そしてHRが終わる


『やっと終わりだ〜。早く家に帰りたい』



自分の思った言葉にハッとする




家なんてもうない


帰る場所なんてもうない



『何であんな所なんかに帰んなくちゃいけないんだ』


自然と言葉が出た自分に腹が立った


次々と教室を出て行く人達の後を希もバックを持って出ようとした時


「藤城。」


七海に呼び止められた


「なぁに?」

せっかく帰れると思ったのに


「お前、屋上で何してたんだよ?」


「・・・何で?」


屋上、と言われて少しドキッとした


「バット持ったあの男が傷だらけで出てきたんだよ。お前また何かしたのかよ?」


その言葉を聞いた月子が驚く


「え!?バット・・・?希、怪我は!?」


月子が希に近づく


希は一歩下がって「怪我してないよ!大丈夫!」と言った


「バット持ってる奴にケンカ経験のない君が怪我なしで勝てるわけがない」

土萌がポソッと言う


「藤城。そうゆうのは俺等に任せろって言ったろ?お前じゃムリだ。」


錫也の言葉に少しイラッとする


「実際勝てたし!次もきっと勝てるから」


「女相手にバット持つ男が次何してくるかわかんのかよ?」


「そんなの知らな〜い。もう帰るね!やる事あるから!じゃ!」


「藤城!」


錫也の声は無視した



昔のウチなら男に違う意味での呼び出しされた時点できっと震えてた


今は前とは違う
(バット持たれた時はさすがに怖かったけど)


死にそびれた自分には多分もうこんな生き方しか出来ない





「死にそびれたなりに雑な呼吸してんだよ・・・」



ベットでぽつんと呟いた
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