。しりあす2*長編

□19あの時、自分が消えれば良かった。
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私は落ち着いたら話すと言って、親父の事はまだ話さなかった



この人達に助けてもらいたいと本気で思うから

いざ自分のした事を言うとなると怖くなる


人として1番最悪な事をした自分を

いくら良い人でも受け入れてくれるだろうか


もし…





その考えが頭から離れなかった




次の日、私は行きたくない気持ちを抑えて学校に行った

「名前、おはよう^^」

途中で錫也、哉太、羊と一緒に登校した

「月子は部活?」

「あぁ。今日は朝も放課後もあるらしいよ」

私が寮を出る時間帯では錫也達とは会わない

きっと私のために時間を合わせてくれたんだろう

口にはしないけど心の中で感謝した



昇降口に入り教室がだんだん近づいてくる

哉太達と会話は続けてるが歩くスピードは遅くなり会話も相づちになった

「名前、大丈夫。僕等が居るから」

羊の何ら変わらないいつもの表情に少しだけホッとした

そして教室内に入る


視線が痛い


出てきそうな涙をおさえる事に集中した


「来たよ、殺人者」

「よく平然と学校来られるよなー」

「やっぱ殺人しした人って感情ないんじゃね?」


小声だが完全に聞こえるように言ってる




バンッ



「てめーら黙れよ」

哉太が机を叩き教室を静かにさせる

「名字の肩持つのかよ…人殺しなのによ」

クラスメイトがボソッと言う

「理由があるに決まってんだろ!お前等コイツの性格わかってんじゃんか!
単純な理由でそういう事する奴じゃねぇだろ!」

「わかんねぇじゃん。裏では他の殺人者と変わらねぇかもしれないだろ」

「何で決めつけんだよ!」

哉太とクラスメイトが口論になった


自分が原因で口論になってる

自分のせいで哉太達と皆の仲も悪くさせてしまってる

その事が本当に申し訳なくてツラかった



私が居なかったら

こんな事にはならなかった


言い合いが聞こえる中、生きてる事の罪悪感でいっぱいだった





親父に殺されると思ったから


自分が生きるために殺したのはダメだったの?


あの時反抗しなければどうなってたかなんてわかってた

やらなきゃ自分がやられてしまう


生きたいって思った事は間違いなの?



誰にもわからない気持ちを


アンタ等に軽々しく口にしてほしくなんかない






悔しさと悲しさでこらえきれなかった涙がポタッと落ちた


「あの時私が殺されれば良かった」

黙れの一言でも言ってやりたかったけどそんな力入らなかった

精一杯の声の大きさで

自虐的に言う事しか出来なかった



私は耐えきれず教室を出た

「名字!?」

丁度、直ちゃんが教室に入ろうとしていた

泣いて出て行った私に驚く


「おい、何があったんだ!?」

陽日先生がクラスの人に事情を聞いた


クラスメイトが原因を話す




陽日先生は黙って聞いた

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