。しりあす2*長編

□18 Cry Baby。
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「…何」

「「今から寮出てこいよ…話したい事ある」」



哉太は私を電話で呼び出し、寮内の展望台に連れていった

掴んでいた私の手を離す

「俺さ、心臓の病気でよ…小さい頃からずっとで…体、強くねぇんだ」

だから薬持ってたり倒れ込んだりしたのか

普段はそんな風に見えなかったけど

「俺、たまに不安で怖くなるんだ…月子達が遠くに行っちゃいそうで…
俺の手の届かない所まで行って、いつか俺の前から居なくなっちゃうんじゃないかって」


それだけ月子達は近い存在で、大切な存在なんだな

大切だから怖くなる

哉太は続けて言った

「けどよ…そんな不安、月子達はあっさり消してくれるんだ。
言ってねぇのに俺の気持ちわかってるかのように気付いたら傍に居てくれたんだ」

遠い空を見ながら少し微笑む

「大切に思ってくれる人が居るって、何よりも心強くて、安心すんだよ。
あいつ等は絶対裏切らねぇし、例え俺が突き離しても傍に居ようとする。そういう奴等だから」


そう言う哉太の言葉に嘘なんて見当たらない

心からそう思ってるから、言葉に力が入るのがわかった


「だから…お前を見離したりなんてしねんだよ。独りにさせようなんて絶対しねぇ。
お前が嫌っつっても、俺等は傍に居る。…ホントは誰かに寄り添ってもらいたいんだろ?」


哉太の言葉に

何故か涙が頬をつたった



心の奥の方で

ずっと奥の方で


助けてほしいって声がする


聞こえないふりして


誰も近寄るなって強がってたんだ



ホントは



孤独は嫌いなんだ


「っ…そうだよ…誰かにわかってもらいたくて助けを求めた…
でもダメだったから…もう誰も要らないって思ってたんだよ…」


抑えきれない涙を手で拭いながら言った


「けどよ…やっぱ、寂しいだろ?」

こちらを向いて少し笑う哉太は優しかった


自分の気持ちわかってくれてるかのように


「俺等は絶対お前に嫌な思いはさせねぇ。だから、安心して泣けよ!」


泣くな


そうじゃなくて


泣け



その言葉に甘えて

私は声を出して泣いた



「お前がそうやって自分を隠さず泣いてくれると、俺は嬉しんだよ」








頼って良いかな?



もう一度



人に寄りかかって良いかな?




そう聞かなくても


きっと答えは出てる


そう思っても


良いのかな

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