。しりあす2*長編

□17絶対裏切らない人は怖い。
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「あの時、俺が聞かれるのを嫌だと思って何も聞かなかったんだろ?
それは…お前の優しさなんだってわかった。けど同時に深入りはしない方が良いっていう
考えでもあったんだろ?」



お前は一定の距離を置いて

それ以上は踏み込もうとはしないし

入らせようともしなかった


きっと過去に何かあったから

こんなに警戒心を持つようになったんだろ?


「俺、何となくわかってたんだ。お前は親しい関係なんていらないんだろ?
適度に仲良く過ごしたいんだろ?」


「…そうだよ。私にこれから関わるとめんどくさい事になるから、もういいよ」

「もういいよって何だよ…」

「気にかけてくれてありがとう」



何でも話せる友達?


心許せる友達?


弱音を聞いてくれる友達?


そんな関係望んでないから




もう、私の心を荒らさないで


優しいふりして


興味本位で知ろうとしないで



「名前!」

寮に入ろうとする私を哉太は腕を掴んで引きとめる

「離してよ…」

「離さねぇ!お前の考え無視して悪ぃけど、もうそんなの気にしてる場合じゃねぇんだよ」

「それって私の気持ちどうでも良いって事?」

「違ぇよ…こうでもしねぇとお前自分の事話さねぇだろ?」



人がどう思ってるかなんてホントはわからない


力になるって言ってる裏では

ホントはどう思われてるのか

私は知れない



それが怖いんだ


≪大丈夫≫


その言葉しか知れないから




だけどその裏を知るのも本当は怖い


本当はどう思われてるか何て知りたくない


自分は弱いから


本音を知っても、知らなくても


どっちにしろ怖くてたまらないんだ



だから距離を置いて安全な場所に居たのに


どうして来ちゃうの?






(哉太達みたいな優しい人に裏切られたら)



(もう立ち直る事なんて出来ない)




(絶対裏切らない人達だから)




(余計、怖いよ)
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