。しりあす2*長編

□16知ってるから、言われると余計ツライ。
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「…ごめん。1人が良い」

私は走って下駄箱の方に行った

「名前!」

「月子達は授業に出ろ…俺が行ってくるから」

「哉太…」

哉太は月子達にそう言って昼休みから学校をサボった


『居た…!』

前を歩いている名前に追いついた哉太

走って名前の元へと行った


「おい…」

「哉太…今日、短縮じゃないんだよ?」

「わかってるって…サボんのは俺の勝手だろ」

哉太は出席日数がギリギリとか言ってたのに

どうして私のためにサボる事が出来るんだろう


「…人殺しと一緒に居たら気味悪いでしょ」

自虐的に少し笑った

「理由、言ってくれよ…」

「ごめん…無理。自分の事、話したくない」


表の自分なら何でも話せる

好きなタイプとか、嫌いな物とか


裏の自分は他人に話すもんじゃない


どうなるか知ってるから




≪めんどくさいよね≫



友達が陰で言ってた事を鮮明に思い出した


そうなんだよ


裏の部分を出すとめんどくさい奴になる


あのままいつも通りに過ごしてれば


リアルや日記にあんな事書かなければ


助けを求めるような弱さなんてあるから


こんな事になった


それさえなければ


最悪な事態にはなってなかったかもしれない



余計な事言うと


見返りを求めて「自分」を話すと


何倍もの代償が返ってくる


一瞬の気休めと引き換えに


一生の傷をつけられる



そんなのもう嫌


何も考えてなさそうだねって


そのままのイメージで良かったのに



「今、お前を1人にすると不安でたまんねんだよ…」

哉太が顔を歪めてそう言った

「どうして哉太が不安になるの?」

「お前が…名前が消えちまうんじゃないかって。
 明日、居なかったらって。不安なんだよ…」


その不安は


私が消えれば一緒に消える


その変わり哉太達に残るのは


後悔


なんて自分は無駄な時間を与えているのだろう


私が居なければ


哉太達は今まで通り笑って過ごせてたのに


私が存在するせいで

無駄な時間を与えてしまってる



「ごめんね…全部私のせいだね」



居なきゃよかった


世界に


地球に


ココに



存在しなければ良いのに






(そんなの自分が1番わかってる)



(それを他人に言われるツラさを)



(誰がちゃんとわかってくれるの?)

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