。しりあす2*長編

□15 距離とか、深入りとか、もう。
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「おい、どうした?」

泣いて廊下を歩いていたら星月先生に声をかけられた

「何でもないです…」

誰とも話したくないからそう言って行こうとした

「何でもないわけないだろ…保健室に来い」

星月先生は私を保健室に連れて行った



「ベットかすから…何時間でも居て良いぞ」

そう言ってカーテンを閉めた

何も聞かずに



私は布団をかぶって声を殺して泣いた


時々押し殺せないほどの声が出る

多分、星月先生に聞こえてる


けど今はそんな事考えてられないくらい


苦しくて、ただ泣いた



* * *



昼休みのチャイムが聞こえる

私はベットからおりた

星月先生は見当たらなかったのでそのまま保健室を出た



バックを取りに行かなくちゃ

もう帰りたい

教室に行くのは嫌だけど携帯もあるし


階段をのぼろうとしたら月子達に会った

「名前、これ…」

そう言って月子が差し出したのはバック

持ってきてくれたのだ

「…ありがとう」

それだけ言って引き返そうとした

「なぁ、名前」

錫也が呼びとめる

私は返事をせずに錫也の方を向いた


「俺等に…話してくれないか?」


きっと親父を殺した理由を聞きたいんだろう



私も言いたい


言い訳したい


「錫也達は何も知らなくて良いよ…事実だけ知ってれば良い」


私のした事はしょうがなかったって言いたい


間違いじゃないって




でも


どんなに言い訳したって


結果、私は人を殺してる



1番変えたい事実は変えられなくて


そこだけは絶対変えられなくて



無駄なんだ



キレイに言いくるめても


最後は「人を殺した」にたどり着くなら


言い訳なんて無駄なんだ



「名前…俺等はちゃんとお前を知りてんだよ…」





もう距離とか


深入りするとかしないとか


考えてられねぇんだ



コイツのその考えに


遠慮なんてしてらんねぇんだ




(今、無理にでも理由を聞かないと)


(無理にでも傍に居ないと)


(コイツが消えてしまう)



(そんな考えすら頭に浮かんだんだ)

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