。しりあす2*長編

□14一人の命を消した女の子。
1ページ/1ページ

何とか涙はおさまった

「おはよー」

いつも通りにクラスメイトに言う


「…」

けど返事が返ってこなかった

よく見ると周りは皆私を見ていた


「何…?」

「あっ、名前…」

黒板の前にいる月子は黒板消しを持っていた

消しかけの黒板を見ると【名字名前は人殺し】と大きく書いてあった

月子は慌てて再び消した



「っ、」




何も言えなかった


何て言えば良いかわからなかった








どうしよう



どうしよう




「お前…ホントに人を殺したのかよ?」

「話によれば自分の親父殺したんだってな…?」


どうしよう

何も言えない



心臓が早く脈打つ


聞こえそうなくらい大きな脈打ちを続ける



「自分の親殺すとか、なくね…マジ怖ぇ」

「だからこっち来たんだろ?」




良い方に話が進んでくれる事なんてなかった




どこに行っても



やっぱり私にピッタリな展開が待っていた



「殺人者が一緒のクラスとか怖くて集中できねぇ」

嫌な顔しながら1人のクラスメイトがこちらを見た

「おい!変なデマ信じてんじゃねーぞ!!」

哉太が机がガタンと蹴り、言い放つ

「じゃぁこっちに来た理由言ってみろよ?」

「親の転勤とかだったらわかるけど、ココ寮制じゃん。」



冷たい視線が私を突き刺す


「名前、こっち来い…」

錫也が私の手を引っ張り教室から連れ出そうとする



けど私はその手を振り払った




「そうだよ。私は自分の親父殺したよ。勝手に言ってろよ…」

ドアをバン、と叩き廊下に出た


「名前!!」

錫也達の声が廊下に響く




振り向かずに



行く場所も決めずに歩く








(どうすればいいの)





(もう、何もわからないよ)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ