。しりあす2*長編

□11深入りはしない、何も聞かない。
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ある日、屋上庭園でのんびり昼休みを過ごそうと思った

左手には飲みかけのペットボトルをプラプラと持つ

「どの曲聴こっかな〜♪」

ipodに入ってる好きな曲を選びながら扉を開いた


「弱いくせにシャシャッてんじゃねーぞ!」


哉太の声がした

奥の方から声が聞こえる

ちょっとした建物からのぞいてみると3人の先輩がちょうど負けたようだった

「くっそ…おい、行くぞ」

やばっ

こっち来る

私はさっと隠れて3年の奴等が行くのを確認した

哉太の所に行こうとしたら突然哉太は膝をついて苦しそうにした

「哉太!」

3人相手だったからどこか怪我をしたのかもしれない

私は急いで哉太の元へ走った

「ハァ…ちょっと…当たり所悪かっただけだ…それより…それ飲ませてくんねぇか?」

哉太はポケットから何かの薬を取り出した

「わかった、はい」

苦しそうな哉太にペットボトルを渡した

私はその間に錫也に電話をかける

「大丈夫だって…すぐおさまる…」

そんな表情で大丈夫と言われても信じれないでしょ

「あ、錫也!屋上で、哉太が喧嘩して…とりあえず来て欲しい!」

「「喧嘩…?わかった。すぐ行くよ。」」

プツッと電話を切ったあと哉太を見る


「…」

まだ苦しそうだけどバツの悪そうな顔をしていた


錫也にこれから怒られる事よりも

多分、薬の事を私に対して気にしている


前も哉太は崩れるように倒れて錫也達に支えられていた


薬を持ってるという事はきっと病気持ち

哉太は病気を患ってる事を知られたくはないはず

強がりだからそんな気がする

「…水提供したんだから、後でジュースおごってね」

「!」

哉太は驚くように私を見た

「…言う事、それだけかよ…」

「何?ジュース以外にも何かおごってくれるの?♪」

「、…」

いつもの調子でそれ以上は口にしなかった


哉太にとって聞かれたくない事だと思うから

興味本位で聞いたりなんてしない

気になるけどやっぱりそこは踏み混んじゃいけないと思った


「哉太!」

錫也が来た

「おい哉太、大丈夫か?」

「あぁ。もう平気だよ」

哉太は立ちあがった

「喧嘩はするなって、あれだけ言ったろ!」

「アイツ等から喧嘩売ってきたんだよ」

私はペットボトルを拾って屋上を出ようとした

「あ…名前…」

哉太は何か言いたそうにこちらを見た

「…オレンジジュースね〜!ヨロシクッ☆」

そう言って私は階段を降りていった



「哉太…名前に病気の事言ったのか?」

「いや…言うどころか一切何も聞いてこなかった…」







(広く浅く)



(相手を自分から深く知ろうとしたら)


(傷つけてしまう事もあるから)




(聞かないよってアピールした方が相手も安心するでしょ)

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