。しりあす2*長編
□9言わないタイプ。
1ページ/1ページ
「で…俺がお前を呼びだした理由。わかるか?」
「わかんなーい」
「今日、星詠み科に殴り込みきただろ」
あぁ、今朝のあれか
「前から嫌がらせを受けていたのか?」
「う〜ん…まぁ数日前?」
嫌がらせで書かれた内容聞かれるかな
人殺しなんて書かれたのは言いたくないな
少し嫌なドキドキを感じながら平然と喋った
「…これからはちゃんと言えよ。自分で片付けようとするな」
あ、良かった
何も言われなかった
「はーい」
でも聞かれるのが何となく怖かったら
私は立って生徒会室を出ようとした
「あ、俺の名前ちゃんと覚えたか?」
ドアに手をかける所で聞かれた
「不知火…一樹でしょ!」
ちょっと忘れかけてたけど覚えていた
「よし。えらいな^^」
そう言って会長は頭をくしゃくしゃと撫でた
「いやー><セット崩れる!」
会長の手を両手で掴んで止めさせようとする
「お前の事はこれから名前で呼ぶからな^^俺の事も下の名前で呼べよ」
少しだけ近い距離で会長はそう言った
「一樹会長?別に良いよ^^」
名前で呼んでってゆう先輩は少なくはないし先輩なら名前で呼ぶのがほとんど
違和感なく会話してた
「名前は1番大切なものだ。だから、ないがしろにしちゃいけない。
それをないがしろにしないで尊重することはその人を大切にするということだ」
少しだけ真剣な顔をした会長
名前が1番大切なわけない
何であんな奴等が付けた名前が
大切なの?
その時の私は少し笑顔が消えていた
だけど笑って「そっか^^わかった」と言って帰っていった
「やっかいなタイプだな…」
あいつは翼や颯斗と違って自分を見せられないんじゃなくて
見せないんだ
仲の良い奴でも
絶対本音は言わないし見せない
あいつのここに来た事情は知ってる
だから少し試してみた
親の付けた名前が1番大切と言われたら当然反発したくなるはず
けど名前はそれを抑えて笑った
あいつの負担を軽くするのは簡単ではなさそうだな
不知火は去っていく名前の背中をじっと見ながらそう思った