。超嫌われ*長編

□14「その場を動かなかった理由」
1ページ/1ページ

月子は必死に七海達に誤解だと言った

しかしその言葉は信じてもらえず名前の話をすると皆怒りがこみ上げてくる様子だった






名前は頬杖して教科書をただボーッと見ていた

「じゃぁ名字、ココの3行目読んでくれ」


七海が隣の席の名前

陽日先生が名前に教科書を読むよう指示した

教科書に目の焦点を合わす

「流星は天体現象の1つで夜間に天空のある点で生じた光が…」

名前が読み終えた時バキッと小さく隣で音がした

横を見てみると七海の持っていたシャーペンが折れていた


声を聞くだけでもムカつくのか

七海はふでばこから別のシャーペンを取り出す

「そのシャーペン、私だと思ったら?」

ぼそっと七海に言った


ガタン!!

大きな音を立てて七海は立ちあがった


「どうした七海?」

陽日先生が驚きながら聞く

他の生徒も何事かと七海に目を向ける

「…なんでもないっス」

静かに席についた


「哉太…」

心配そうに月子は七海を見た


授業が終わり昼休み名前は体育館倉庫の近くに居た

5時間目が体育なのでジャージに着替えていた名前

一緒に体育はしないが体育館で1人、バスケをしようと思っていた



目的は特になく、一本の木の前でただつっ立っていた


「死にたいかも…」


小さく呟いた



「あ…名前」

傍を通りかかり名前を見かけた月子

話そうと思い駆け寄ろうとする

「おい、行くな」

だが七海に腕を掴まれた


名前が七海達に気付いてそちらの方に目を向ける

土萌と七海はきつく名前を睨む


ミシミシと何か音がした

名前のすぐ後ろで立てられた鉄パイプを支えてるヒモが今にもはずれそうだった

そしてブチッと鈍い音がする

「!!名字!!危ない!!」

錫也がそれに気付き急いで名前に向かおうとする

だけど距離的に間に合わなかった

名前は錫也の声で後ろを振り向く


「!」

すぐに逃げようと足が動く

だが逃げる体勢からまたさっきのつっ立った体勢に戻った

反射的に両手を顔の辺りに持ってきて鉄パイプから頭を守った



ガシャーーーン!!


コンクリートと鉄のぶつかる音が響く


「名前!!?」


「名字!!」


4人が名前の元へ駆け寄る

「おい名字!!大丈夫か!?」

錫也が名前を抱きかかえた

鉄パイプからは頭は守れたがその衝撃で地面に頭を打ったようだ

「う…っ」


体中に嫌な痛みが走る

頭はボーッとしてクラクラする


「何ともないから…」

名前は無理に立ちあがったが痛みとメマイでバランスを崩した

「おい!」

七海が名前をかろうじて受け止めた

「保健室に行こう。名字はなるべく頭を動かすな」

錫也は名前をお姫様抱っこして保健室に連れて行った

簡単に持ちあがった名前

一瞬その軽さに少し驚いた錫也


「星月先生!名字が大怪我して…診てください」

そっとベットに降ろした

「クラクラしただけだから…もう何ともない」

ベットから立ちあがる名前

もうクラクラした感じはないが強く当たった鉄パイプの痛みはそうすぐにはひかなかった


「七海達は保健室の前で待っててくれ。月子は女子だから残って。
 人が来たら入るのを止めてくれよ。」

七海達は保健室から出ていった


「名字、ちょっとシャツめくるよ」

「どーぞ」

「夜久、シャツおさえてて」

「わかりました」


背中には何か所も内出血があった

外傷もいくつかあったがそんなに酷くはなかった



「足の方は?」

「歩ける程度だから大丈夫」




保健室のドアの所で待っていた七海達

錫也が口を開く

「あの時…名字逃げようとしたよな?」

名前の行動に疑問を感じていた錫也

「でも、体勢戻したよね?」

土萌も気付いていた

「あいつなら充分逃げれる時間だったよな…?運動神経も悪くねぇし」


あの時、どうして逃げなかったのか3人は疑問だった

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ