。超嫌われ*長編

□9「愛情は途切れる」
1ページ/2ページ

教科書を読み終わり「ハイ終了〜」とパタンと閉じる

「むずかしくてわかんなーい」

「中学生くらいになれば理解出来るよ」

「おねえちゃん意地悪ー」

「世の中甘くないんだよ」

むぅ、と顔をふくらませる女の子

「名前おねーちゃんあんま笑わないね。悲しい事あったの?」

小学生は直球だな

てゆーかこの歳で笑ってる笑ってないの区別つくんだ

小1を甘くみていた


「かなしー事ね…人として1番やっちゃいけない事しちゃったからかな」

目の前に貼ってある子供向けの張り紙を見ながら言う

「やっちゃいけない事?人のオモチャ取ったり?」

「はっは^^その程度なら笑えるけどね」

さすが子供

不意に子供の発言を可愛いと思う名前

「じゃぁ友達傷つけたり?」

「傷…そうだね。それ以上のものかもしんない」


傷以外に


それ以上に



もっと、悪い事をしてしまった


現在進行形でもあるし



「そんな時はごめんなさいって言えば良んだよ!許してくれるよ」

「だと良いね。…愛美は何でここに居るの?」

寮に居る理由を聞いてみた

「ママがねー迎えに来るからここで待ってるの」

「…そっか」

育児放棄かな

多分この子の親はもう来ない

「ずっと待ってるんだけどねぇ、小学校にゅうがくした時も来なかったんだぁ」

幼稚園から手放されたのか

「…お母さん来ると思う?」

「月子おねえちゃん達はきっと来るって言ってたよ。」

「…私はそうは思わないけどな。今はね」


嘘言ってもしょうがない

だけど今は、と付け加えた名前

「どうして?」

悲しそうに名前の顔を見上げる女の子

「小学生のうちは多分来ない。
だけどもうちょっと大人になったら顔出しくらいはすると思うよ。」


手放しても自分の子供だから様子見くらいはすると思う


「一緒に暮らせないの?」

「愛美を預けた事情にもよるんじゃない?」

「うーん…一緒に居たとき、お母さんは夜1人でイスにずっと座ってたよ」

「何か言ってた?」

「つかれたって言ってた。お母さんのお仕置き痛かったけど、でも好きだよ」


虐待かな

名前は女の子の腕に赤いアザみたいなのがあるのを見つけた

「これどうしたの?」

「熱いお水がかかったの」

「…お母さん?」

「お母さんは悪くないよ!愛美が悪い事ばっかしちゃったから…」


虐待か


子供は親を責めない

子供に取って親が全てだから

幼い年齢なら尚更


「…愛美ってゆう名前、可愛いね。こうゆう字でしょ?」

名前はバックからシャーペンを取り出し教科書の端に書いた

「うん!お母さんが付けたんだって」


産まれた時、この子を本当に愛していたのがわかる

愛してるから「愛」を入れた

他にも皆に愛される子になってほしいの意味もあるかもしれない


「名前おねえちゃんはお母さん好き?」

「…嫌いかな」

「どうして?」

「好きって言えるところがないから」

「優しくないの?」

「優しく出来ないほどに私が生意気だったの」



どうして産まれた時の愛情のまま


ここまで来れないんだろう


産まれた時、誰もが望まれる

【元気で育ってくれればそれで良い】



最初はただ、元気に産まれる事だけを望まれて


望まれて産まれてきて




だけど愛情はいつの間にか途切れた



憎しみに変わる


無関心に変わる





名前は教科書に書いた名前をじっと見た
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ