。超嫌われ*長編

□1「殺人者は少し笑う」
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苦しむ姿が自分には1番お似合い



見下されてるのが


哀れな目で見られるのが




「何だその目は!!」


バチンと響く音


名前はただ父親をじっと睨んだ




憎い


憎い



この世で1番大嫌いな親父



絶対許さない



一生憎しみ続ける



絶対に許さない




名前は何にでも否定的な父親が大嫌いだった


頑張った事を話せば「そんなものか」


頑張っていれば「まだ努力が足りない」


何もしなければ「挑戦しようとしない脳無しか」





大嫌いで



尊敬出来る所は何もなかった



「偉そうにしてんじゃねぇよ…子供もまともに育てられなかったくせによ…!!!」


部屋に戻った名前はハサミでそこら中の物を力任せに刺した



死んでやりたい



今ここで死んでやりたい




だけど出来ない自分に腹が立ってしょうがなかった



* * *





「おい!!何処に行くんだ!!」


父親が夜に出歩いてる名前を見つけた


仕事帰りで運悪く会ってしまった



「関係ねぇだろクソ野郎が」


そのまま歩く


「親に対してその口の利き方は何だ!!」


父親が名前の腕を掴んだが名前は思い切り押した


押した先は長い階段だった


父親はゴロゴロと転げ落ちた


「…良いざま」


名前はそのまま家に帰って行った



ピンポン…

夜、家のチャイムが鳴った


「何ですか?」


母親が玄関を開けたと同時に驚くような声で言った

母親の目の前に現れたのは警察の証明書を見せた警察官


「お父様が階段から転落し、病院で死亡が確認されました」


「え…?」


母親は目を見開く


そこに名前が廊下の奥から出てきた

「娘さんですか?娘さんもご一緒に病院に送りますので、お母さん、車の方へ…」

「何が?」


名前は警察のした話を聞いていなかったので何の事を言ってるのかわからなかった


「お父様が、階段から転落して…残念ながら…」


警察が俯いて言う


「!…死んだの?」

「病院の方で詳しく説明しますので」


母親は警察に背中を押されながら車の方に行った


「娘さんも…」


「…私は警察署の方が良いと思います」

「なぜですか?」


警察が不思議そうに聞く

「階段に落としたのは私だから」


「え?」







(殺そうとはその時は思ってなかった)


(だけど死んだと聞かされた時)



(少し笑いそうになってしまったんだ)

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