。嫌われ*長編

□嫌われ12【敵当な気休め言葉】
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どうしてこうなったかな

なんでウチを産んだのとか

親はこんな奴になるなんて思いもしないし


産まれてこなきゃ良かったなんて

それは産まれるか産まれないかを

選べたらの話で



もしその選択が出来るなら


この世界にウチは居ない






名前はヒマだったので友達のリアルを見てみた


【名前と連絡が取れない(゜゜)どうしちゃったの><】

【何も言わずに去るとか何だよー 何処に行ったんだし…】


どうせ忘れる

居ない奴の事なんて

すぐ忘れる



名前はアドを変えてその連絡先はほんの数人にしか教えていない

友達に教えてるHPもサイトも全部消した



誰かが言う


ほとんどの人が


「君が死ねば悲しむ人はたくさん居る」


ねぇ、わかってんの?


友達の本音アンタわかるの?


ウチと周りの関係わかってんの?


誰かが本気で泣いてくれるとしたら

こんなんにはなってないんだよ


何も知らない奴にそんな事言われたくない


「自殺」というキーワードで調べたHPに出た言葉を

睨んでじっと見つめ続けた





* * *




学校に行く途中月子達が見えた

『朝から最悪』


ヘッドフォンで音楽を聴いてる名前は
スタスタと月子達の横を横切った


「あ、おはよう名前!」


当然聴こえない


「月子、アイツ音楽聴いてるから聞こえるわけねぇだろ」

「聞こえてても無視してるよ」


月子は構わず名前の腕を掴んだ

「!」


少し驚いて振り向いた名前

「おはよう!」


聴こえないけど言ってる事は口の動きでわかる

「はよ」


そっけなく返す


だけど月子に掴まれた腕はまだそのままだった


月子を見ると口を動かしている

何か喋ってる


名前はヘッドフォンをめんどくさそうにはずした

「何?」

「今日お昼一緒に食べない?」

「…一人で食べたいから」

「お願い!錫也のお弁当すっごく美味しいの!」

「それで釣れると思ってんの?」

「うぅ…」

困ったように顔をゆがめる月子


「名字、10分だけで良い。俺等と一緒に食べないか?」

錫也が助け舟


「嫌いな奴と一緒に食べたら飯が不味くなるよ?ウチも錫也の弁当を美味しくは食べれそうにない」

チラッと七海と土萌の方を見る


七海がムッとする


「月子が一緒に食べたいって言うんだ。しょうがないでしょ」

「お姫様のためなら悪魔の傍にも置くんだ?なんつー優しい王子様だ君等」


名前は鼻で笑う


「ね、名前!一緒に食べよ?」


大きな目でじっと見つめてくる月子

じっくり見るとホント可愛い顔してんな


「いいな…」


ポツンと本音を言ってしまった

月子の可愛さが羨ましい


「え!ホントに!?やったぁ♪♪」

「は?」

どうやら月子には「いいな」が「いいよ」に聞こえたらしい

「ちょ、今の違「食べる場所は噴水の近くの広場で良い?あの近くの大きな木の木陰涼しんだよ^^」

「ありがとう名字!俺の弁当は美味しいからな^^」


聞き間違えすんなよ!

良いよなんて言ってないと言おうとした名前


でも月子の嬉しそうな顔を見てなぜか言いだせなかった


名前はタメ息をついて足早に学校に向かった
 

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