。嫌われ*長編

□嫌われ11【見えない未来】
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「は?」


名前が嫌そうに月子達を見た

お昼一緒に食べようとの誘い

「断る。じゃーね」

席を立ち教室を出ようとする名前

「待って!」

月子が名前の腕を掴む

「っ、」

怪我をした所を掴まれて痛そうな表情をした

「あ・・・ごめん、痛かった?」

「別に」


これ以上月子と居たら本来の自分を出してしまう

甘えてしまう


名前は月子の手を振り払った

「名字、一回だけで良い。俺等と食べないか?」

錫也が名前に言う

「何でそんなウチと食べたがんの?
 一人で食ってるウチが可哀想だから誘ってあげましょうって?
 マジありがた迷惑。」


ギッと睨んで教室を出て行った


優しくしてくれる人達にこんな事言うのは正直ツライ



本当はこんな仔じゃないの


ちゃんと笑ってた


普通の話で馬鹿みたいに笑えてたの


甘えないって決めた

もう良いって決めた


消えるって決めたから


「もうダメなんだよ」

一人で居る誰も使わない教室で呟いた名前



「あーあ…何とか名前を誘えないかな…」

錫也の作った弁当を食べながら空をボーッと眺める月子

「もういいだろ。アイツは一人が好きなんだよ。」

七海が飽きれる

「勝手にさせれば良い。でも月子を傷つけるなら僕は許さないけど。」

* * *


放課後、名前は星月先生に呼び出されていた

「何ですかーー」保健室に顔を出す

「お、名前^^」

そこに居たのは会長だった

「何で会長が?まさか先生と一緒にダブル説教されんのウチ。」

嫌そうに顔をしかめる

「そんなわけないだろ;俺は保健室に用があっただけだ」

そう不知火の手には包帯が巻かれてあった

「怪我したの?」

「あぁ。体育の時にちょっとな;」

「ほんっと一樹は優しんだからぁ〜」

誰の声だと振り返った先には初見の人

や、何回か見た気もするけど


「桜士郎。来たのか」

「名前ちゃーん。また何か問題起こしてない?
 トップニュースになるような!新聞一面飾るような!」

そー言えば何か【超オラオラ系女子来たる】とかゆう見出しで新聞みたいなの出された記憶が

本人の目の前ではがして捨ててやったけど(


「怪我したのと優しいってどう関係あんの」

問題起こしたかという質問はスルーした

「一樹バスケのボールが当たりそうになった奴を助けたんだよ。良い人でしょ?」

ニッと笑う桜士郎

「ふーん。瞬発力良んだね。」

あまり興味なさそうに返す

「まぁ瞬発力も良んだけどね〜。他にも秘密があるんだよね^^」

「別に秘密ってほどでもないだろ;」

不知火が救急箱をしまう

「実は一樹ちょっと先の未来が見えるんだよね〜」

桜士郎の方を再び振り向く名前

「未来が見える?」

子馬鹿にしたように笑いながら言う

「そ。科目も星詠み科だし。」

「名字、待たせたな〜。悪いな。」

ちょうど星月先生が来た

「遅いよ先生。で、何の話したいの」

「はっは^^会議があってね。で、本題だけど…その怪我どうした?」

「…この前も聞いたじゃん」


以前怪我をさせられた時星月先生に呼び出され、手当してもらった

「その時は転んだって言ってたが…転んだだけじゃそんな怪我は出来ないぞ?」


「先生うざい。ウチの転び方が変だったって言いたいの?(笑」

「治り遅くないか?治るどころか昨日より痛がってる感じしたが」

「先生ストーカーしてんの?」

「たまたま見かけただけだ」

先生に男子生徒に暴行されたなんて言う気はない

「あまり女子生徒見てると変態になっちゃうよー。怪我なら自分で手当てしてるから。もう帰るね」


名前は保健室を出て行った


「あいつは先生という者に何かを言う気は更々ないな…」

星月先生が困った表情をした

「星月先生、俺が出来る限りあいつを見ます。」

不知火が言う

「…頼んだよ。生意気だが大切な生徒だからな…」



名前は寮に戻らずに屋上に居た


ベンチに寝っころがり大音量で音楽を流す

目を閉じて何曲も流れる曲を聴いた



気付いたら辺りは暗かった

夏の季節になりかけの夜はまだ少し肌寒い


名前は屋上を出て下駄箱に向かう

「名前。まだ居たのか?」

生徒会の仕事を終えた不知火が名前に声をかけた


「もう帰るから」

少し不機嫌そうに返した

バラード系の曲ばっか聴いてたら悲観的になる最近の自分

“まだ居たのか“が悪い意味に聞こえてならなかった


「女子寮まで送るよ。」

笑って自分の靴を置いて履く不知火

「頼んでないからいい。」

「暗いから女の子一人じゃ危ないだろ。素直に聞きなさい。」

ポンと名前の頭に手を乗せた

「会長は何も危なくないし」

帰路を進みながら2人は話をする

「お前が誰かに襲われたらどうするんだよ」

もう襲われたし…と言うのは止めて
「会長に関係なくない?」と答えた

「関係なくない。…予想なんだが、お前のその怪我誰かにやられたのか…?」

あの怖い思いをした時を思い出した


顔をかすかに歪める名前

「自分が勝手に怪我しただけだから。それよりさぁ、未来見えるってホント?」

話をそらした名前

「まぁ…そんなに細かくは見えないがな。多少の事なら」

「へぇー。ウチの未来どうなってる〜?^^」


今未来を知っても無意味

だってもうすぐでウチ消えるから

消える事を前提としてるから会長が見える未来はきっとウチのお墓か、その前の出来事

「人の未来はそんな簡単に教えて良いもんじゃない。」

予想外の答え

「会長ケチーー。まぁ良いけど。」


そんな会話をしてたら女子寮に着いた

「じゃ、あまり夜更かしするんじゃないぞ。」

「子供扱いやめてー。じゃぁね」


不知火と別れて自分の部屋に戻った
 

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