。嫌われ*長編

□嫌われ7【同情は要らない】
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カラン


放課後、下駄箱でピン止めを落とした名前


グラッ


拾おうとしたが昨日の殴られた痛みでバランスを崩して転倒した

倒れた体は傘立てに当たった

何とか立つがよろけて今度は下駄箱のロッカーにぶつかる

「おい!名字大丈夫か?」

錫也が駈けつける

「…ほっといて、ウザイ」

「錫也が心配してんのに何だよその態度」

七海も来る

名前は頭に手を当てながらピン止めを取ろうとする

「!」

だが名前が取る前に誰かの手がピン止めに手を伸ばした



「痛い目見るのは君なんだよ」

土萌はピン止めについたホコリをはらった


「痛いのはウチだけ。アンタが怪我するわけでもないから関係ないでしょ」

ガバッと取って痛そうに歩いて行った名前


「名前、何かあったの?」

月子が心配そうに土萌に聞いた


「ほっとけよあんな奴。関係ねぇって言われただろ」

七海は上履きを雑にしまい、靴を出した


「誰かにやられたとしても名字は絶対言わないだろう。
 羊、名字の怪我、転んだんじゃないんだよな?」

錫也は傘立てを起こしながら言った

「多分ね。生意気だからお仕置きしなきゃとかって3年で言ってたの僕聞いた」

「それホントかよ…まぁ、アイツの性格じゃ目つけられるの当然じゃね?」

七海は驚きつつも関係ないという風に返す


「関係なくても…心配だよ」

月子が言う


「ホントにアイツ問題児だよな」

月子に嫌な事をしたり七海達に喧嘩腰で話したりする名前

同情する気はない

だけど怪我をさせられた名前を少し気の毒に思っていた七海


次の日名前の怪我はまだ痛々しかった

朝、星月先生に呼び出された後の名前の手には包帯が巻かれていた


授業中七海がチラッと名前を見た

いつもとシャーペンを持つ手が逆だ


きっと利き手が痛むから逆にしたんだろう

逆の手でノートを書いてる名前は書きにくそうにしていた

でもシャーペンを持つ手も時々痛そうに休ませる


手の甲にはアザがあった

そんなに酷く暴行されたのかと思うと七海は少し顔を歪ませた

「何」

七海の視線に気付いた名前

「いや…あのさぁ、その怪我…」

「同情してんの?」

いつもと違う表情に名前は七海の考えてる事がわかったような気がした

「そうゆうの要らないから。転んだって言ったでしょ。うざったい。」

「な…!」


心配してた自分が馬鹿だ


七海は怒りたい気持ちを抑え授業に集中した







同情されたくてこっちに来たんじゃない


アンタ達がウチに少しでも優しくしたら


ウチの計画は狂ってしまう




愛されない子の計画


いつ実行出来るんだろう



名前は遠くの空をボーッと見ていた
 

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