。嫌われ*長編

□嫌われ6【偽善者】
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昼休み、月子と一緒に生徒会室に来た名前(後ろには七海、土萌、錫也)

「もう付き添いはここまでで良いだろ。行こうぜ」

生徒会室まで案内が終わると七海は帰ろうとする

「一樹会長はそんなに怖くない人だから大丈夫だよ。じゃぁ」

月子が一言付け加えて4人は帰って行った

ガラッとドアを開ける名前


「やっと来たな…まぁここに座れ」

不知火がソファに座らせる

そして向かい合わせで自分もソファに座った

「俺は生徒会長の不知火一樹。何で呼び出されたかはわかるよな?」

「昨日の事でしょー。放課後来なかったのはただ忘れてただけだよ〜」

不知火の問いかけにダルそうに答える名前

「嫌がらせを受けたら壇上に上がるんじゃなくて、まず俺に言え」

「何で?皆に見せた方が効果的じゃない?」

「効果的とかそういうんじゃなくて。皆の前で言うのは止めろ。
  お前、犯人わかったらまた壇上に上がって名前公開するつもりだろ。」

「あっ、正解〜。何でわかったの?」

自分のしようとしてた行動を当てた不知火に軽く驚く

「お前ならやりかねない事だからな。」

「へぇ。ウチの事理解してんだね〜。
 前の学校でガラス割ったような奴は考える事がクズで解りやすい?(笑」

自分をけなした言い方をする名前


不知火はため息をした後こう言った

「お前はクズなんかじゃない。とりあえず何かあったら俺に言えよ。問題が大きくなる前に」

「クズは問題が大きくなった後に報告する生き物よ^^」

ニコっと笑う名前


不知火はポンと名前の頭に手を置いた

「あまり自分を下に見すぎるな」


優しい表情をする不知火に名前は少し戸惑ったがすぐに手を払った

「偽善者ぶってんの?だから皆の支持率高いんだね」

「ハハ…偽善者ぶってるつもりはないが」

少し笑いながらも冷静に返す不知火

「いかにも良い人演じてる人大っ嫌い。そんなに良く思われたいの?」

「そうか…お前にはそう見えたんなら悪かったな^^」


悲しそうに笑った


どうして?

何で怒らないの?




「…話終わり?ウチお昼まだ食べてないんだけど」

「お、悪い悪い。じゃぁもう行って良いぞ。」


名前は生徒会室を出て行った

ポンとされた所を手で軽く触る名前

そして髪をクシャッとさせた


「優しくして皆の票取ってんのか」

ぽそっと呟いた





放課後、名前は2人の男に呼び出されていた

3年の名前の事を話していた男だ


「何か用?」

腕組みしながらイライラしている

「へぇ〜。3年の前でも態度変わんないんだねぇ。」

「変えてほしいの?」

「いやぁ別に。ツンデレな子って好きだし^^」

「お前等にデレるつもりないんだけど?」

2人の男を睨み続けながら言った


「生意気な子ってお仕置きしたくなるんだよねぇ…!」

一人の男が名前の両腕を壁際に抑えつける

「は?ふざけんなっ!!」

抵抗するがもう一人の男に止められる

そして2人がかりで暴行を受けた



次の日怪我だらけで登校した名前

「お前、どうしたんだよその怪我」

クラスメイトに聞かれる

「別に。転んだだけ」

不機嫌そうに返す

「転んでそんな怪我すんのか?だっせぇな」

七海がぼそっと言う

それを聞いた名前がギロっと七海を睨む

「うっせぇな。黙れ」

クラスメイトはハラハラしながらその会話を聞いていた


休み時間、廊下で土萌とすれ違った

「だから言ったじゃん」

土萌がすれ違いざまにこう言った

「…うるさい」

名前は止まらずに歩いた

ツカツカ歩いてたら目的と違う所に来てしまった



「ん?名前。その怪我どうした?」


目の前に現れた何となく見覚えのある顔


一瞬ボーッとその人の顔を見たがすぐに我にかえった

「転んだだけだけど。…誰だっけ?」

ネクタイの色を見ると3年のようだ

「生徒会長の不知火和樹だ。」

「…あぁ!」


生徒会室に呼び出されたちょっと嫌な記憶がよみがえる


「何で下の名前で呼ぶの?」

「俺は下の名前で呼ぶようにしてるんだ。名前は1番大切なものだからな」

「は…?」

何で親に勝手につけられたこの名前が1番大切なんだ


それに自分の名前は好きじゃない


「親が1番最初にあげる愛情、でもあるな^^」


「…まぁそれは確かにだけど」



確かに


産まれた時は愛してくれたと思う



無事に産まれて良かったって



望まれて産まれてきた






最初は







この人と喋ってると何だが自分が惨めになる


きっと幸せな家庭の中に居る人なんだな


こうゆう人の考えは共感出来ない


「じゃ。」


この人から早く離れたかった


「ところで。」


会長が名前の肩を掴む


「ホントにその怪我は転んだだけか?」

疑うように名前を見る不知火

「他に何したってゆうのさ」

「誰かにやられたとかじゃないよな?」

名前はため息をついて言う

「んなわけないじゃん。会長メンドクサイ」

うざそうに不知火を見る

「なら良いが…。あのな、俺はお前を心配してんだぞ」

「心配してなんてウチ頼んだっけ?」

「お前は生意気だなー…;まぁホントに転んだだけなら良いが。気をつけろよ」


少し笑ってその場を去って行った


「…偽善者」


どうでもいい奴なんか心配するわけないじゃん

しかも問題児で口悪い、生意気な奴なんて



不知火の背中をじっと睨んでいた
 

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