。しりあす*長編

□シリアス8
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「…」

目を覚ます希


「せっかくのチャンスだったのに…また無意味だった…」


病院の天井を見てポツンと呟く

「何言ってるんだよ!?」


そう言えば会長の声がする

「!!」



希はガバッと起き上がった

「痛っ」

全身に痛みが走る

「おい、無理に動くな」

不知火が希の両肩を支える

ふと不知火の手元を見ると紙切れが見えた

「っ、」

希は紙切れをバッと奪い自分の手の中に入れた

「…希、何があったんだ」

「いいよ…もういいから」

「よくない…」

「ごめんて…めんどくさい奴でゴメンねっ…責めないでよ…どうして…っ」


笑顔を初めて作れなかった希

うつむいて涙を手で拭う



「誰も責めてなんかいない…希っ…」

希のボロボロな姿を見て顔をゆがめる不知火


もう作り笑いさえも出来ないほどこんなに傷ついていた希に
気付けなかった不知火は自分に悔やんだ

「お前は何も悪くない…もう1人で抱えるな…
 あった事、全部話してくれ…頼むから…」

「だって、自分以外は皆他人事じゃん…心配してるふりして大して人の事なんて考えてないじゃんっ…
 人の痛みなんてわかんないじゃん…誰にもわかんないよ、わかったふりしないでよ…」



自分以外は結局皆他人事


友達の悩みとか相談とか

どれだけ本気で自分を心配してくれてるかなんてわからない


裏で何思ってるかわかんない

「あの子じゃなくて良かった」なんて思われてるかもしれない


本当はわからない


痛みなどわからない


本当に知る事なんて出来ない




(他人なんだから)


(自分の身に起こった事じゃないから)




(痛みを知ったふりで)


(わかったふりで)
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