。超嫌われ*長編

□20「生きてく強さを守りたい」
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「月子…無理だよ。七海達は私を許さない」


ガラ、と部屋のドアが開く


「今のを聞いてなかったらな」


七海達が入ってきた


「無理言って入らせてもらった。名字、良いか?」

錫也が名前に言う

「…うん」


頬にも怪我をしてる名前を見た七海

「あの時…月子に怪我させる気なんてなかったんだろ?」

「…そうだよ」

「じゃぁ何で違うって言わねんだよ…俺等が勘違いしたまま終わってたかもしれねぇんだぞ?」

「それで良かった」


勘違いしたまま

七海達は私から月子を守ってれば良かった



「名字、僕は運命を信じるよ。これも名字の運命だとしたら
生きろっていう意味なんじゃないの?僕等にこんなカタチで出会ったのは運命で、
まだ終わりじゃないんだよ。後味悪いまま終わらせないでよ。」

土萌が運命と言う言葉を口にする

「死ねなかった事が運命なら、次はちゃんと死のうって思った先が
本当の運命だったらどうするの?」

「自分の運命ならいくらでも変えれるだろ」



一つの選択で


待ち受けていた運命は大きく変わる


「僕は名字の本当の運命とやらに行かせる気はない。勝手に変えるよ。
錫也達もそう思ってる。」

名前は錫也達を見た

「今まで俺等のした事、許してくれないか…」

「何でそっちが謝るの?言わなきゃいけないのは私の方なのに…」

「なら、俺はお前を許す!つーか俺等の勘違いだし…
名字、突き飛ばしたり胸倉掴んだりして悪かった…ごめん…!」


七海が頭を下げて真剣に謝った


「…私が生き続ける事で誰かが不幸せになったら?」



産まれた事が最大の親不孝なら


先に死んでやるのが最大の親孝行


少なくとも[家族]と法律上で言う人は不幸だろう



「名字が生き続ける事で誰かが笑ったり幸せになったりする方が
ずっと価値はあると思うが?」

「そんな人…何処に居る?」


居るわけない

私が誰かに必要とされる事なんてない

嘲笑って


皆見下すに決まってる






「名前」


月子が優しく呼んだ


「ここに居んだろ…月子と…俺等が。」

恥ずかしそうに七海は少し目をそむける

「これからお互い知って、これから笑えば良いだろ…
それにまだお前の笑った顔一回も見た事ねぇし」

「確かに…僕、名字の嫌みな笑い方しか見た事ない」


俺も、と錫也が少し笑う







「っ…」



どうしてこんな私に優しくしてくれるのだろう




名前はこらえきれなかった涙を落した


「名前…泣かないで」

月子が抱きしめる


名前も抱きしめ返す


「ありがとう…いっぱいごめんね」





自分が生きる事で不幸せになる人のためを想ってこの世から消えれば良いのか


自分が生きる事で幸せになってくれる人を想って生き続ければ良いのか




私には正直わからない


どっちが良いのかなんて決められない


だけど生きてって言ってくれる人が居るなら


その言葉に甘えても良いかな




死ぬ覚悟より生きる覚悟


今は生きてく強さを守って良いのかな



「うぅ…」


名前は自分の生きる図々しさと月子達の優しさにまた泣いた

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