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□とある男のお話
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なあ、一つ話をきいてくれ

おいらはあのユダヤが嫌いだった
だが好きになっていた


おいらにはどういうことかまだ理解していない


ユダヤなんてごめんだね、しかも赤毛
差別主義者のおいらにとってはこの想いは屈辱的なものだ

が、日が経つにつれ、あいつのことがだんだん気になってきた

ああ、唇が柔らかそうだ
髪もふんわりしていて、気持ちよさそうだ
肌は白くて、触り心地が良さそうだ
瞳は深緑で、見ていると吸い込まれそう
あいつは、誰が好きなんだろう


そんなこと、こんなことばっかりだ
おいらは一体どうしちまったんだろう、急にこーいうこと想う様になるなんて

でもしょうがない
おいらをここまで魅了したあのユダヤが悪いのさ
だがしょうがない
おいら達は仲良くしていちゃあダメなんだ、きっと


だからしょうがない、しょうがないから
今日もこの言葉でお前に挨拶するとしようか


「よう、ユダヤ」

「黙れよ、デカっ尻」


いつもの、何気ない日常
この日常が変わることはもうないだろう
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