02/15の日記

07:55

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☆コメント☆
[やち] 02-15 09:55 削除
よっし、投入完了
ムーン様そして皆様、すっかりお待たせしてしまいすみませんカメ…いやカタツムリ位のペースで漸く仕上がりました
今回甘さなしに加えて『セシル様』って感じに…それでも許していただける方…え?いない
ムーン様、予告通り長編に…そしてこの展開どうするの〜
え〜い、バトンタッチニヤッ

[かおる] 02-15 10:11 削除
おぉ!
ナギ先輩、佳境じゃないですか!?
この次どうなるか、めちゃめちゃ気になります!!
なっちゃんのためにハーレー走らせて…
ナギ先輩怒り心頭のご様子。
怒ったナギ先輩、手が付けられなそうだ…
あぁ、なっちゃん、襲われなくてよかったぁ。
早く、セシルからなっちゃん奪還してほしい!
そしてまたもや、新しい登場人物、レオン
警察の人!?
早くセシルをつかまてちゃって!!

いつも楽しませていただき、ありがとうございます。
お忙しい中、お話をアップするのは大変だったと思います。
お話は楽しみにしていますが、くれぐれも無理なさらずに、風邪などひかないでくださいね。
インフルエンザもまだまだ流行中ですから。
って言ってるわたくし、一家でインフルにかかり、やっと復活です。

[ムーン] 02-15 10:29 削除
やち様〜!お疲れ様でした〜校了ありがとうございます!

………てスゴイ展開だああ〜っ!!ヤッベェ…ナギとなつと自分…

仕事の時間になりましたので一仕事のあとまたコメ入れます〜!

[アリシア] 02-15 12:35 削除
うっほ〜い、ナギ先輩だぁ〜
すごい展開じゃないですか!
でもロイ+ハーレー、似合ってるわぁ。(←何故かそこに食いついた。)
新キャラ、レオン来ましたね。
まさかのレオ

今回もグイグイ引き付けられました。
お疲れ様で〜す。

[西月] 02-15 15:18 削除
うわーい。セシルさんだ、セシルさんだー♪
はっ……ここは、ナギさんに肩入れすべき場所かしら…コソコソ(・・;)

セシルさんが悪に染まるその理由、最高ですっ。
くすくすくす…。すっげぇセシルがやりそう。
ひたすら、ニマニマとセシル寄りで読んでしまった(笑)
レオンて(笑)
ネコさんも出てくるのカナ?

ナギさん、セシルさんに好かれているよー
ナギさん、セシルさんに求められているよー
どう見ても、セシルさんの片想いだけど(笑)

続きは、シンさんやロイさんも大活躍…かな?

[ムーン] 02-15 16:53 削除
やち様最近どうしてるかなあ…と気になっていたら…!地下に潜ってこんなにスゴイ展開のお話を書いて頂いていたのですね!
ナギさんがハーレーに乗っている姿にメチャ悶えました黒のビンテージなんて…ロイめちゃくちゃイジッて格好よく仕上げてそう…!でやはりナギさんに似合いそうだ〜!

セシル…なるほどそんな事が…!やち様背景設定描写ありがとうございます!

そしてナギは相当ワルかったんだな…

此処でセシルがナギに仕掛ける罠ってどんなだろ〜悶々…

そしてレオン…

やはりネコさんと一緒に登場するレオンにした方がいいかな…それとも…ウ〜ン悩む〜!

ありがとうございましたバトン頂きました!やち様お疲れ様です!

やち様のお話に応えるべく私も地下に暫し潜りま〜す!ボコボコ。。

[アリシア] 02-16 01:03 削除
レオンさんはさんのレオンさんがいいなぁ

ミュミュたんとなっちゃんの触れ合いが見た〜い。

[やち] 02-16 01:21 削除
本当に毎回超スローで申し訳ないですなのに、皆様お優しいコメントをいただきありがとうございます
いつも見守って下さるかと思うと心強いです


かおる様病み上がりに読んで頂いたのですね。少々へビーでしたかね
お身体大丈夫ですか
そう、ナギ先輩佳境なのですがとんでもないことに…無事卒業出来るかしら
いつも温かいお言葉嬉しいです
かおる様も無理されず早く体調が回復されますように


アリシア様ロイのハーレーに食いついて下さり、ありがとうございます何に乗せるか結構迷ったので反応が嬉しかったです
新キャラ…ご想像の通りかと
私も続きが楽しみです


西月様セシルさん擁護して頂いてありがとうございます何せサブタイトルセシル様ですから
悪に染まる理由セシルっぽいですかコメント拝見して思わず小躍りしちゃいましたやったぁ
これもムスカ台詞集のお陰です
ナギに片思い…ああ、まさにこれ書いててB○の序章のようだと…イケナイ話がそれて行く


ムーン様二度に渡ってコメントありがとうございました
地下から這い上がって参りました
ハーレーに乗るナギ先輩に悶えていただき嬉しいですどうしてもバイクに乗せたかったのですだって似合うから〜
それにロイのお店にも合う雰囲気ですし
セシル背景長くなってごめんなさい最後まで苦戦しましたがどうにかセシルらしさを出せたかしら
そのせいでナギ先輩の過去が真っ黒に
ドウスルンダ
新キャラも勝手に足しちゃいました

今回もムチャ振り受けて頂いてありがとうございます我ながらS発揮し過ぎだろ…と突っ込みたくなりますが…続きを楽しみにお待ちしています

ムーン様もご無理のないペースで楽しみながらいきましょう

[やち] 02-16 01:30 削除
因みにレオンは愛称です
だってシンさんが長いから短くしろって
なぁんて
Σ(´□`;)
後ろに凄い殺気を感じる
『カチャ…ここから3秒以内に立ち去れ
さもないと…』
うわぁごめんなさい私がそう呼ばせたかっただけですぅ

[ムーン] 02-16 02:54 削除

バトンタッチで只今地下に潜伏中(笑)

やち様のセシル…セリフといい立ち振る舞いといいホントにセシルらしさ満載でした!

続きのお話を書くにあたりセシル登場は必至!…ああハードル高くなっちゃってヤバイっす〜

レオン…私の回で再登場する事があったらやはりネコさんつきで登場させたくなりました〜ミュミュちゃんと戯れるなつちゃんかあ…

ナギに恋い焦がれるセシル…うっかり道を踏み外してセシル→ナギ×ヒロインものにならない様に注意しますねぷぷ

ホントに風邪流行ってますね
かおる様病み上がりのなかコメントありがとうございます!お大事にして下さいね

ではではまた潜るか…ぷくぷく

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07:55
連載中「ナギ先輩」10
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☆コメント☆
[やち] 02-15 08:53 削除


……んっ
腹部に微かな鈍い痛み

連れ去られる際、抵抗したなつは腹部を殴打され気を失っていたのだった


(ここは?)


冷たいコンクリートの床に横たわったままぼんやりと辺りを見回す


薄暗く広い空間には沢山の木箱が雑然と置かれており、天井からは細く糸のような月明かりが差し込んでいた

時折カチ、カチと今にも消えそうな蛍光灯が点滅を繰り返す


…鼻を掠める潮の香り

海が近くにあることを悟り、かなり遠くまで連れてこられたという現実に少なからず絶望を覚える



部屋の奥から男達の声が聞こえてくる


「ひっひっひ…これでナギがきたらちょろいもんだぜ」

「でもよ、アイツが来なかったら女はどうすんだよ」

「そりゃあ、頂いちまうに決まってんだろ
はっはっは…」


(!!…この声)


先刻の恐怖が蘇る
抵抗しなくなったネロくんにも攻撃の手を緩めなかった男達


私は何もできずただ見ていることしか出来なかった


…それにあの眼鏡の男、とても冷たい瞳をしていた


カタカタと震える手を抑えるようにギュッと握る


(一体あの眼鏡の男とナギはどういう関係なの?)


(私がここにいたらナギが危ない…)


(ここから逃げなきゃ…)


慌てて起き上がろうとするが、後ろ手に縛られており体が思うように動かない


(…あっ)

『バタンッ』

バランスを崩して床に倒れ込む

「痛っ」

冷たい身体に受けた強い痛みに思わず声を発してしまう


その時『…ガタンッ…コツ、コツ、コツ』と靴音が聞こえてくる


(…誰か来る!!)


起きようと必死にもがくが足が竦んで力が入らない


…コツ……
目の前に立ちはだかる大きな影


恐る恐る見上げてみると、ナイフを投げつけてきた男が不気味な笑いを浮かべてなつを見下ろしていた


「ひっ!!!! 」
なつは思わず後ずさりする


「へっへ…お目覚めかい、…なっちゃん」
男は舌舐めずりしながらなつに顔を近づけてきた


「こ、来ないで」


「…いいねぇ、その表情…興奮しちゃうなぁ」


足をバタつかせ必死で抵抗するが、簡単に抑えつけられてしまう


男はなつの身体に跨がると首筋にナイフを当てがった

ヒヤリ…冷たい感触

「刺されたくなかったら大人しくしてるんだな」

男はニヤリと笑うとなつの制服に手をかけた

「いやぁぁ〜、ナギ〜」

なつの悲鳴が響き渡った





[やち] 02-15 08:58 削除

ナギは海岸沿いの道を南下していた


アジトは繁華街からはかなり離れた港近くの廃倉庫にある



真横からぶつかってくる海風は冷たく徐々に体温を奪ってゆく


ブォォォン、ブォォォン…
ドドドッ、ドドドッ…


ハーレーの爆音が響く…それは今の自分の鼓動とリンクするようで少しだけ胸のざわつきが和らいだように感じた


重厚で黒光りしたヴィンテージハーレーはロイの愛車


ナギが路地を出る直前、走っていくつもりか?と貸してくれたものだった


…正直言って助かった
あの時、なつが攫われたことに気が動転し、移動手段など考えていなかったのだ


金属バットをリアシートのバンドにねじ込むとそれを見たロイは苦笑していたが


こんなものがどれ程役に立つかは知れたものだが、丸腰で行くには危険すぎる相手だった


セシルは常に冷静で冷酷、計画は緻密でかつ大胆、そして自分に絶対の自信を持っていた


あの頃の俺は人を傷付ける事で荒んだ自分の心のバランスを保とうとしていた

セシルの誘いに乗ったのも自分の吐け口を得るため…俺は、躊躇なく指示された計画を遂行した

時にはターゲットを殺さないまでも必死に助けを乞う相手に暴行し続けたこともあった



仲間を抜けて暫くは、かつての仲間から度々襲撃を受けたが、それも仕方がないこと…何とか切り抜けてきた

ここ一年の間はそういったことがなく、解放されたような気になっていた


なつと付き合い始めてからは、自分のドス黒い過去が少しずつ払拭されていくような錯覚に陥った

「フッ…」

ナギは自嘲気味に鼻で笑った
(過去が消える筈ないのにな…)


一番大切な人を危険な目にあわせている
その原因が自分自身であることが許せなかった


…クソッ

…何故なつの側に居なかったのか

…何故守ってやれなかったのか

ひたすら押し寄せる後悔と自責の念



セシルのヤツ…なつに何かあったらただじゃおかねぇ


ぜってぇ、この腕に取り戻してみせる


…だからなつ、俺を信じて待っていてくれ


命にかえても必ずお前を守ってみせる


ナギは胸の中でなつに誓うとハーレーは更にスピードを加速していった





[やち] 02-15 09:06 削除
〜LICARにて〜


「ナギの奴め、俺のハーレーちゃんにバットをぶっ刺していきやがった」

「ほらほら、ロイ様、そんなことはいいから早いとこなつを助けに行ってくださいよ
此処で行かなきゃ男が廃るってもんですよ」

「わ、分かってる」




「ロイ、いるか?」

LICARに合流したシンがロイ達のいる奥の作業スペースに入ってきた

シンはファジーから話の大筋を聞くと

「…なるほどな、ナギも厄介な相手に目をつけられたな
確かヤツ、最近では麻薬取引に関与しているという話を聞きたことがある」


「ま、麻薬ぅ?
それはかなりヤバイんじゃ…」



「…そうだな」

シンはほぅ…と息を吐くと腕を組み考え込むように目を閉じた

…程なくして目を開けると、何かを思い出したように呟いた


「ん……そう言えばあの男、セシルを追っていたな」


そう言うとシンは携帯で電話をかけ始めた


『…レオンか?
俺だ、シンだ…
お前セシルの尻尾を掴んでやると意気込んでたな…

俺の友人がアイツに拉致られた

今がアイツを捕まえるチャンスなんじゃないのか?

…ああ、俺も今から向かう

分かった…』


そう言って電話を切ると上着を羽織りドアの方へ歩きだした

「ああ、待て!俺も行く」

ロイが慌てて奥から飛び出してくる


「まあ、囮くらいにはなるかも知れんな…」


「何か言ったか?」


「いや…さっさと行くぞ!」


2人はなつとナギが待つ廃倉庫に向かった

[やち] 02-15 09:26 削除
〜廃倉庫にて〜

なつは悲鳴を上げると半ば諦めたように堅く目をつぶった



その時…



「…そこまでだ」


( !! )


声のする方を見やるとゆらりと人影が動く


( …誰? )



「セ、セシル様!」


「言ったはずですよ…
勝手な真似はしないでいただきたいと」


静かだけれど威圧的な声


眼鏡を指で押し上げるとふうっと溜息が漏れる


「あなたには学習能力がないようですね…」


その言葉に私の上に馬乗りになっていた男は慌てて立ち上がるとヘコヘコと頭を下げ始めた


「セシル様、す、すんません…これは女が騒ぎ立てるんで、黙らせようと…」


「もう結構…
そろそろナギが来る頃だろう
君は持ち場に戻りたまえ」



「は、はっ!」

ダッダッダッ…

男は慌てて勢いよく階段を降りていった


セシルと呼ばれた片眼鏡の男がゆっくり近づいてくる


細身でスラリと伸びた手足、陶器のような肌、どこか気品が漂う雰囲気に目を奪われる




「なつさん…でしたね
手荒な真似をしてすみません

…ですが、これもナギをおびき出すため」


( …!!! )
はっとして思わず顔を上げるなつ


静かで紳士的な口調とは裏腹にセシルの瞳は攻撃性を帯びてギラリと光っていた


更にセシルはなつに言葉を続ける


「貴女はまだ利用価値がありそうだ
…安心して下さい、命まで奪うつもりはありません

ただし…私の言う通り大人しくしていればの話ですが…」


セシルはクス…と冷笑を浮かべる

…ゾクリと身体が粟気立つ


「あ、あなたとナギは一体…
どうしてこんなことまでして…」

男が放つ冷たいオーラに怯えながらなつが尋ねた



「そうですね…先程のお詫びに時間まで少しお話ししましょう」




「ナギと私はかつての仲間でした」



そう言ってセシルは近くにあった木箱に腰をかけると、小窓から差し込む青白い光に目を向けながら話し始めた




[やち] 02-15 09:33 削除
セシルの家では祖父の代から貿易会社を営んでいた
型破りな経営で次々と成功を収めた祖父だったが、五年前に亡くなった
そのため父親があとを継いだのだが、父親は経営の知識がないために会社の業績はあっという間に低迷していった

祖父に絶大な尊敬を寄せていたセシルはこのままでは会社が潰されかねないと懸念し、あれこと会社のために働いてきた

しかし、思うように成果が上がらない

父親をサポートする一方で自分が会社を意のままに出来たらと常々考えていた…
いつか父親から会社を奪い取ってやると

セシルの両親は幼い頃から息子に余り関心がなく、豪遊を繰り返していた

自然と自分を可愛がってくれる祖父に懐いていった

そんなセシルがずっと大切にしてきた場所があった
それは孤児院が併設されている教会だった
当時より優しく話を聞いてくれるシスターをまるで母のように慕っていた

しかし、その場所も閉鎖の危機にあった
セシルはこの場所と大人の都合でここに来た孤児達を守るために数年前から寄付をし続けていた

しかし、いくら寄付しても子供が自立するまでの資金は足りない


…だが、ある時ふと気付く


金を搾り取れるところからとことん搾り尽くせばいい
それでこの場所を守ることが出来るなら…
きれいごとだけでは何も変わらない

いつからか、セシルは裏の世界で動くことが多くなった

もともと、自分の意のままに人を操ることに長けていたため、強面で腕っぷしが強い者達を仲間に引き入れるのは簡単だった



ナギは突然セシルの目の前に現れた

きっかけは肩がぶつかったという類の馬鹿馬鹿しいことで下っ端の男が仕掛けた喧嘩だった

その時ナギは、当時右腕となって働いていた男までもを倒してしまった…それもわずかな時間で

ナギの強さに惹かれたセシルは仲間に誘った
ナギは今までの仲間とは違っていた
人に媚びず、無口で、しかし言葉は実直で心の中を見透かされている気がした


ナギが仲間になってから仕事が早く片付き、セシルの彼に対する評価も上がる一方だった


しかし、ナギは高校に入学して暫くすると依頼を断わるようになっていった


『俺は他にやるべきことを見つけた…今日限りで抜けさせてもらう
最後に一つ言っておく…お前のやり方は間違っている』
ナギはそう言葉を残すとセシルの前から去っていったのだった




[やち] 02-15 09:43 削除



カタン…
セシルは静かに立ち上がるとゆっくりとなつに歩みよってきた


「私は去る者は追わない主義なんです…後々面倒ですから

しかし、困ったことにナギがいた時よりも格段に仕事の効率が悪くなりましてね


仲間内からは『裏切りのナギ』なんて呼ばれていましたが、私の真意ではないのですよ」


セシルはなつの前に膝をつくとスッとなつの顎に手をかけ、吐息がかかる程の距離で囁いた


「なつさん、私は目的を果たすためにナギを仲間にしたい…


貴女を囮にナギを取り戻しにきたんです」


…ゴクッ
セシルの余りの迫力になつは息を飲んだ





その時、『ダァァァーン』という激しい金属音が鳴り響く

( !!!! )


『ナギだ、ナギが来たぞ』
にわかに階下が騒がしくなる
バタバタと大勢の足音がする


(ナギ…来てくれたの?)




『ドカッ、ドカッ、バキッ…』

『ウワァ、グッ』

絶えず聞こえてくる衝撃音や呻き声になつの顔は青ざめていく

なつはぎゅっと目を閉じて祈った

(ナギ、どうか無事でいて…)


突然、後ろ手に縛られた手首を強く引かれてすっと立たされる


「ふっ…やっと来ましたね

さあ、なつさん、貴女にはもう一働きしていただきますよ」


そう言って微笑んだセシルの瞳が妖しく光った





[ムーン] 02-17 01:37 削除

廃倉庫の赤煉瓦が見えてくるとナギはハーレーのエンジンを切った


音をたてずに倉庫裏口付近の目立たない木の茂みにバイクを隠す


リアシートに捩込んだ金属バットを握り締めると重さと強度を確かめる様に片手で思い切り振り下ろした


ビュンッと重く鋭い風とともにナギの廻りに繁っていた木の葉がハラハラと宙を舞った


ナギはフーーッと深く深呼吸をすると瞑っていた瞳をゆっくりと開けた


その目は頼りない月明かりの下鈍く鋭い光を静かに放っている



研ぎ澄まされたナギの感覚は僅かな気配を感じてしゃがむと茂みから様子を伺う


数十メートル先から男が二人組で懐中電灯を片手に見回りをしていた



「ホントにアイツ来ると思うか?」

「わざわざ死にに来るようなもんだ…
来たとしたら本当の馬鹿か頭がイカレちまってるかどちらかだな」

「違いねえ!」


高笑いする男達の背後に気配を消して近づくとナギは金属バットを振り下ろした







伸びて気絶する男達のポケットに裏口の鍵を探り当てると



裏口へ廻り扉の鍵穴に鍵を差し込むとゆっくりと回した


静寂な暗闇のなかカチンと小さな音が響く


扉の入り口の壁に背中をもたれナギは大きく深呼吸した


この倉庫の構造は頭に入っている


なつがいるとすれば2階の物置部屋だろう


そこに監禁をされ暴行を受けた人間をナギは何人も知っている


裏口から侵入すれば最短で行けるルート


もう時間がない


扉の向こうに大勢の男達の気配を感じる


ナギは音をたてずに扉を開けるとなかに入って行った



ざっと30人くらいのチンピラ風の若い男達が物置部屋に続く階段下のホールで騒がしく屯っている


ナギは表情を変えずに男達の間をすり抜けてゆき階段の手摺りに手をかけた


「おい!そっちから上は行くな!」


見覚えのある男の一人がくわえ煙草をしながら横目で手下に注意するように言う


ナギの顔を見て一瞬唖然とした顔になり


「お…前、ナギ…!?」


廻りの男達が一斉にナギを振り返る



ナギは金属バットを高く構えると思い切り男達に振り下ろした



不意を突かれた男達は懐から思い思いの武器を出すと威嚇するように叫びながらナギに向かって行った


.

[ムーン] 02-17 01:39 削除
「ぐあっ!」
「ゴフッ!」
「待ちやがれ!」

階下から男達の乱闘の声と音が響いてくる


ダッダッダッと勢いよく階段を駆け上がる音と一緒に聞こえてきたのは

「なつ!そこにいるのか!?」

ナギの声だった


「ナ…ッナギィーーッ!!」

なつは声を張り裂けんばかりにナギの名を叫んだ


バンッと勢いよく扉が開くと


金属バットを握り締めたナギがハアハアと肩で息を荒げながら立っていた


セシルは腕時計にチラッと目を落とすと


「やっと来ましたか…

合格ラインギリギリですね」



セシルに首筋にナイフを宛がわれたなつを見てナギは眉根を寄せると「チッ」と舌打ちをした


「クックッ、金属バット一本で乗り込んでくるとは…

直情で行動するのは相変わらずですね…ナギ

さて…その物騒なものはもう棄てて下さい」


セシルは後ろから片手でなつを抱える様に立ち上がらせると震えるなつの首筋にナイフをグイッと強く押し付けた


「………」


ナギの手から金属バットがすり抜け コンクリの床にコーーンと音を立てて転がった


バタバタとする足音に周りを見ると


私達は腕っ節の強そうな大勢の男達に囲まれていた



「…お前らの目的はこの俺だろ?煮るなり焼くなり好きにしろ

ただしコイツは関係ねぇ…

家に帰してやってくれ」



ナギはセシルを鋭く睨みながら言った


「フッ、相変わらずいい目をしている


なつさんには可哀相だが…それは出来ませんね」


「あ!?どういう事だ!」



「ナギ…私は貴方に報復するためにこんな事をしている訳ではありません



やり方が少々手荒だった事は否めませんが


…こうでもしないと貴方は私に会ってもくれなかったでしょうから…」



「…俺に何をさせるつもりだ」



「フフ…勘のいい男は好きですよ、ナギ

今回の仕事はちょっと厄介でね


是非貴方にやって頂きたい


いや、今回に限らずこれから先もずっとね」



「…断ると言ったら?」



「ナギ、このポンプは何だかわかりますか?」


セシルは注射器を持った手を上に高く掲げた


ナギの目がピクリと細く歪む


「セシル…てめぇ…

何をするつもりだ」


ナギの表情を見てセシルは満足げに冷たく微笑んだ


「これはスーパーS、ドクターギンが分子構造の組み替えに成功しやっと出来たものです

通常出回っているスピードとは明らかにモノが違う…はるかに依存性、中毒性の高いものです

…これを一回でも投与された人間は通常の覚せい剤では飽き足らず廃人になるまでこのクスリの奴隷となるでしょう」


セシルの手の注射器の針がなつの腕に近づいてゆく


「…っ」


ナギが駆け寄ろうと踏み出すと屈強な男達が後ろからナギの腕を羽交い締めにした


.

[ムーン] 02-17 01:41 削除
シュパーーンッ

湾岸の高速道路をシンのポルシェが光の筋を残しながら猛スピードで走り抜ける


「なあシン…ちょっと飛ばし過ぎやしないか?」


次々に車を追い越してゆくシンにロイは足を踏ん張りながら言った


「嫌だったら降りればいい」


シンはそう言うと助手席側のロックをカチャと解除した


「俺を殺す気か!」


ロイは慌ててロックし直す



♪♪♪♪♪


テレビ電話の着信音にシンはボタンを押した


画面には眼鏡をかけた真面目そうな男が映し出される


「レオンか…何だ?」


「レ.オ.ナ.ル.ド.だ

まあ、いい…

シン、この件から手を引け

正式に我々インターポールの管轄になった」


「どういう事だ?」



「今夜セシルが闇取引する情報を入手した

相手は…ギン」


「…っ!ドクターギン…

マッドサイエンティストの異名を持つ国際的テロ集団のリーダーか…」


「流石に良く知っているな…

セシルと密通している情報を得てからこの機会を待っていた


今夜取引現場を押さえて一網打尽にする」


「麻薬密売で検挙してもたかが知れてるが…国際テロ集団との関わりが発覚したら…」


「セシルも当分塀の外には出れないだろうな…


危険な現場になるだろう


此処は我々に任せて民間人は大人しくしていたまえ

シン、わかっ…ブチッ…ッーッーッ」


シンは話の途中で通話を切ると険しい表情になった


「スゲェな…大捕物だ

此処はロイ様の出番だな!」


指をポキポキと鳴らすロイをシンは横目で睨むと


「…ったく、脳天気な馬鹿め」


シンの右足がアクセルをベタ踏みする



「う…おぉぉ〜〜」
加速するGにロイの叫び声が夜の湾岸高速にこだました


.

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