過去拍手SS

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「…マヤ…」


肩におかれたナギの掌に力が篭る


「…お前に大事な話がある」


眉を寄せ私の目を真っ直ぐに見つめるナギの瞳は真剣で


その先に紡ぎ出される言葉を聞くことを本能的に拒絶した私は反射的に目を逸らした



「…俺の目を見ろ」



俯く私の頬をナギの指がぎゅっと掴むと目の前に顔を上げさせる


私達を探す海軍の追手の沢山の足音がこちらに近付いて来るのがわかる


…此処が見つかるのも時間の問題だと覚悟した



「…もうすぐ奴らがここに来る…


…いいかマヤ…


俺が奴らを引き付けている間にお前はこの通風孔から船長達が捕まっている部屋まで行くんだ」


「ええ!?ナギも…!」


「俺は此処に残り全員逃げ切るまで時間稼ぎする」


「無理だよ!ナギ一人であんな大勢…!」



ナギのシャツにぎゅっとしがみつく


震える私の手をナギの大きな掌が優しく握った


「…心配すんな、後から必ず合流する」



厭な予感がした

このままナギと離れたら一生逢えない様な…


私はブンブンと首を振る


目からは涙が溢れてきた


「アホ…泣くな…


大事な女残しておちおちくたばる訳ねーだろ?」



ナギの指先が涙を拭うとナギの唇が私の唇に軽く触れた



「…俺を信じろ」



ナギはそう言うと私の身体をぎゅうっと力強く抱きしめた



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