過去拍手SS

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「ナギのバカ!」



私はそう捨て台詞を残して厨房を立ち去った



ナギ「…おい!待て!」



ドアの向こうでナギの呼び止める声が遠くに聞こえる



私は振り向きもせず走り出した




甲板の手摺りまで駆け足でたどり着くとフゥ…と溜息をつき明るい月夜に照らされた海を見る…




ナギと些細な事でケンカした…



ナギってばいつも私のこと「バカ アホ バカ アホ…」



…そりゃあいつもナギの足を引っ張ってばかりかもしれないけど…




私だってナギの力になりたいっていつも頑張ってるんだから…




「ナギのバカ〜〜!!」




夜の海に向かって思い切り叫ぶ…




「…誰に向かって言ってんだ…このバカ…」



後ろから頭をコツンと叩かれる



…振り返ると不機嫌そうなナギの顔…




「…ナギ…またバカって言った…」




「…チッ…しょうがねーだろ?…ホントの事なんだから…」




「…うぅ…

…もうナギとは口聞かない!」




「おら!いつまでもふて腐れてんじゃねーよ…」



ツーンだ

私は無言を決め込む



「…ったく…これでも食って機嫌直せ」



ナギはそう言うと小さな籠に入れた色とりどりのマカロンを差し出した



「わあ!!かわいい!」



しまった…!つい…




「…お前、こういうのが好きって言ってたよな…」



「…え…なんで…?


…あっ!」



「…今日はホワイトデーだろ?」




「…うん。…ナギ…覚えていてくれたんだ…」




ナギはふっと優しい瞳で笑うとグリーンのマカロンをひとつつまんだ




「ほら…口開けろ」


(…え?)


促される様に口を開けた私にナギがマカロンをア〜ンする…


パクン



「…ん…美味しい!

ピスタチオだあ!」




「…もいっこ食うか?」




ナギがベージュ色のマカロンをつまみア〜ンする


パクン


「…わあ!今度はマロン!」



「…ぷ…なんだか親鳥になった気分だな…」




「…ナギ…親鳥はそんな食べさせ方しないよ?」




「あ?…じゃあどうやって…」



ナギはハッとしたようにすると照れた様に頬を赤くそめた…



「おま…やっぱ…アホ」



「…いいの…ナギ?


ホントに許してあげないよ…」



「…チッ」




ナギはピンクのマカロンをつまむと口にくわえた…



そのままそっと私の口元まで運ぶ…



「…ん…」




ナギのとろけるようなキスは



…甘い甘いイチゴの味がした…



********




「…なんかまた食べ物でごまかされた様な気がする…」



「…ぷ…お前ホント学習能力ねーのな…」



「むきぃ〜〜〜」




************

おしまい

拍手ありがとうございます
ナギとのホワイトデーでした

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