★ 小説置き場 ★

□★ プレゼント ☆
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 「アリア!またお前は・・・・」

  「むぅ・・・・・・・」



今日もバレットの説教から始まる。

 あきれたように淡々と怒り始めるバレット。

 いつものことなので慣れてはいるが、今日はちょっとわけが違う。





「おい、きいてるのか??オレは心配だから言ってるんだぞ?」


私はむっと顔を上げてバレットをにらみつけた。



「今日は、しょうがなかったんですっ!」


手に持ったものを後ろに隠しながら懸命に首を振る。



はあ、とため息をつくバレット。

私はふいっと目をそらしてうつむいた。


(今日は・・・・バレット先生の誕生日だから・・・・・)



なんていえたらどんなに楽だろう。

先生の大好きなサケを釣って、苦手な料理をママから教えてもらって、・・・・・



何日もこの日のために練習してようやく完成したというのに。



先生は全然分かってない!



 「あのなぁ、アリア・・・・・」


また説教を始めようとするので私は手に持ってきた包みをバレットに押し付けて、学校から出てしまった。


多分私は泣いている、でも足は止まらなかった。




「アリアっ!・・・・・・」

バレットはあたふたしながらも追いかけてきた。

「いったいどうしたんだ?」

子供と大人とでは追いつくのなんかたやすく、すぐにつかまってしまった。



「なんで、泣いて・・・」

「先生のばかぁーーー!」


私はその場にへたりこみ泣き出してしまった。
あとからあとから涙があふれ出てくる。


「今日はっ、バレット先生の、誕生日だからっ!・・・・・」


とぎれとぎれに、顔を手で押さえながら言った。



ここまでしないとこの人はわからないのかと、正直ため息が出てしまいそうだ。


バレットは持った包みと私とを交互に見て、ふっと笑った。


「アリア・・・・」

「ふぇ?・・・・えぇ〜〜〜?!」


急に抱きしめられ唖然となる私。


ぱくぱくと口を開きながら真っ赤になる私は誰が見てもおかしい人と思われるだろう。


でも誰だって、好きな人から包み込むように優しく抱きしめられたら絶対私のようになると思う。


「アリア」

急に顔を上げるバレット。

「はいぃっ!」

私もつられて顔を上げる。


「その、・・・・あ、・・・りがとう」


ふいっと目をそらして言うバレットはいつもと同じ。 


素直じゃないと思いながら私はばっと抱きついた。

「バレット先生!、ハッピーバースデイ!」










END
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