★ 小説置き場 ★
□やさしい言葉
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「みてください、こんなにたくさんつくったんです〜」
「はあ・・・・」
僕が今目にしているものはなんと
かぶ、かぶ!、かぶ!!
全部がかぶだった。
ミストさんは両手を合わせ喜んでいる。
「全部かぶの料理なんです〜!ラグナさんにどうしても食べてもらいたくて」
「だからこんな早くによびだしたんですか(汗」
今は早朝3時。
朝日が出始めたところで、まだあたりは暗い。
気持ちよく寝ていたところに、急にミストさんがやってきたのだ。
おきてくださいコールをするもんだから……
「なにかあったかと思って心配したんですよ〜」
「?何が心配なんですか?」
ミストさんはぽけっとした顔をしている。
はあっとため息をつきつつも内心ほっとしている。
ミストさんの家は洞窟に近いためモンスターが現れたのかと思ったのだ。
でもいたって元気なミストさん。
と、そのまえに・・・・
僕はこのかぶ料理を全部、しかも一人でたべなきゃならないのか?!。
「さ、さ殿方おたべになられてください」
「はあ・・・」
ミストさんは両手を肩に置き肩を揉んでくれている。
彼女なりの気遣いで出迎えたつもりなんだろう。
僕はミストさんに会った初めての時を思い出す。
倒れていた僕に食べ物をくれ、看病してくれて家や畑までくれた。
命の恩人ともいえる、 しかも僕に懐いてくれているみたいでしょっちゅうご飯をつくりにきたり(ほとんどかぶ料理)畑のみずまきを手伝ってくれている。
(そういう素直なところは可愛いんだよな)
僕は苦笑いをし、はしを持つ
「じゃ、いただきます」
「はーい♪沢山食べて下さいね〜〜」
僕はおそるおそるかぶと肉を一緒に炒めた一番おいしそうなものから皿に移した。
「・・・・・あっ、おいしい」
「そ、そうですか?!」
「うん、ミストさんこんなに料理うまいなら他の料理だってできますよ!」
意外にもかぶと肉はマッチしていた。
これは多分彼女の味付けがよかったのだろう、くせになりそうな僕好みの味だった。
「よかった……」
「わっ!ミストさん?!」
そういうと気が抜けたのか彼女はぱたりと僕にもたれかかるようにして倒れていた。
僕はあわてて抱えあげ顔色をうかがった。
「・・・よかった、寝ちゃっただけか」
嬉しそうな表情を浮かべすやすやと眠っている。
(・・・・僕の為にずっとつくっていたんだ・・・・)
僕は彼女のやさしさに胸をうたれた。
「こんなにまで僕にしてくれなくていいのに」
ひとまず僕はミストさんをベットに運ぶことにした。
起きないように慎重に・・・
隣の部屋のドアを開けるとベットがあるはず・・・・・
なぜか僕はドアの前で立ち止まってしまった。