捧げもの

□禁断の煙
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「わかんねェもンはわかんねェよ!!」



キッドは机を思い切り蹴った


「……まァ、俺はお前が落ちようと落ちまいと関係のねェことだがな」


「知るかよ!もし落ちたら俺はこんなとこやめてやらァ!」



この俺が善意でしてやっているのにとクロコダイルは舌を打ってため息をついた



「大体お前の教え方が下手くそなんだよ!!あーあーハンコックのやつだったらもっとわかりやすいんだがなー!」


いつも授業中寝るか他のやつと話しているくせに



俺の話をマトモに聞いたことがあるのかお前は


イライラしながらも進級ギリギリのキッドを放っておくわけにはいかず、行き場の無い怒りを抑えた



「大体こんなの学んだところで何の意味があンだよ。足し算やら引き算ができりゃ生きてけるって」


「足し算も引き算も出来ないやつにその台詞は似合わんなバカスタス君。」


「何を……!!!うっせェクソダイルが!!足し算ぐらい出来らァ!!」


キッドはブチ切れて椅子に座ってシャーペンを持ち机に向かった



そういうのが馬鹿ってンだ


上手いこと乗せられたキッドを尻目にクロコダイルは葉巻に火をつけた


しかし理解するしないの問題ではなく、勉強という行為自体に嫌悪感を持つキッドは手を動かそうにも問いの意味が分からない











二人が押し黙ったまま小一時間



「やっぱ無理!!!!」



その声に反応したクロコダイルは机の上の紙を見るが、落書きしかなかった



「ははっ、悪ィな………」


と苦笑いで謝ってみせた



「クハハハ、……どうしようもねェな…」


「俺こんな馬鹿だったかなァー」


「馬鹿なンだろうな。トラファルガーに比べたら遥かに」


「あいつと比べんな。将来外科医になる男だぜ

俺はわかんねェけど…」




キッドが少し寂しげな顔をした


「ま、普通に金がもらえる仕事ならいいか…」


おもむろにポケットから煙草を取り出した


「火くれ」


「教師の前で堂々と」


「お前だって生徒の前で堂々と」


早く火をくれと手を出した



クロコダイルはその手を払い、キッドの口にくわえられた煙草を抜き取った



「煙が欲しいのか」


言いながら葉巻を吸ってキッドにキスをした


「満足か?この不良が」



キッドは呆気に取られて物が言えなかった



「俺はお前の将来がどうなろうと関係ねェ、もう好きにするがいいさ」




クロコダイルは葉巻をくわえなおし、部屋を出て行こうとした



「ちょ、おい!」


正気を取り戻したキッドが腕を掴んで引き止めた


「好きにしろってさっきと話が違ェだろ」



「何だ、お前も俺の話を聞いていることがあったんだな」



「うっせ!!いいからその、あれ、」


真っ白の紙を指差した


「一人じゃ出来ねェ」


「俺がいても出来ねェじゃねェか。ハンコックでも呼んで来てやるよ」


「ちがっ、お、俺はお前がいいンだよ!!」




キッドの顔が一気に真っ赤になった



「ハンコックって言ったのは……お前が…嫉妬でもしねェかな……って」


「…じゃぁここにいてやるから休憩してろ。お前に一時間はキツイだろう」


そう言うとクロコダイルは近くにある椅子に座った


「休憩か……」


自分より目線の低くなったクロコダイルに


「だったら」


顔を寄せながら


「もっと煙くれよ」


言い終わる前に唇を重ねた




























禁断の煙
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