わけあり少女とわけあり少年

□第15話
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・・・・すごっ。

漫遊寺に着いたとき、私が発した言葉。

・・・だって、寺だよ寺。
来たことなんてないっつーの。

・・・あ、ここ学校だった。
寺じゃない寺じゃない。

皆につられて中に入る。
ところが、すぐ立ち止まって円堂の背中に顔が当たった。

「ぶっ」
「あ、悪い!」
「・・・別に・・・」

痛む鼻を押さえて円堂と鬼道の間に入る。
中を見たとたん、驚いた。

・・・おお。

「穴だ・・・」

独り言のようにつぶやく。

通路とおもわれる石畳の上には、大きな穴が開いていた。

いや、それにも驚いたけど、私が驚いたのにはもう一つ訳がある。

ここの中学の人たちは、まるでその穴がずっと前から在ったかのように、気にしてないのだ。
普通に喋ったり笑ったりしてる。

「・・・なんか、のんびりしてるよな」
「襲撃予告なんて、まったく気にしてない感じ・・・」

いちろ君と塔子の言葉に皆が頷く。
円堂が珍しく苦笑いをする。

「と、とにかく、サッカー部を探そうぜ」

「サッカー部なら奥の道場みたいだよ」

後ろで声がし、私も含めて全員が振り向く。
私の喉からびぎゅ、と不気味な音が聞こえる。

後ろにいたのは、女の子二人にお礼を言っている吹雪だった。

「どうもありがとう」
「「どういたしましてぇ〜」」
「また何かあったr」

「ねーよ」

ぐい、と吹雪のマフラーを掴み皆のところへと引き寄せる。
女の子は驚いて、吹雪は青い顔をしていた。

「***ちゃっ、くるし・・・」
「・・・そこの女の子二人」
「「はいいぃ!!」」

私が声をかけただけでビクゥ!と震えあがる女の子たち。

「ごめんねコイツが迷惑かけたみたいで。

あと、道場の場所教えてくれてありがとう」

ニコ、と作り笑いを浮かべると女子二人は顔を真っ赤に染めた。

「「は、はい・・・」」

ばいばーい、と手を振り女子二人がいなくなる。
よし、面倒ごと解消。


「・・・どうしよう、風丸君。
僕***ちゃんに勝てる気がしないよ・・・!」
「安心しろ吹雪。
俺もだ・・・」
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