嫌われ
□番外
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朝練や教室に行く途中までは普通だったが教室に鞄を置くなり*はさっさと教室を出ていき、そのまま帰ってこなかった。
そんなに俺と顔を会わせづらいのかおい。
知ってるか*。
お前担任に欠席扱いにされてたぜ。
イライラしながら鞄に教科書や筆箱を詰めて肩にかけた。
もう終礼は鳴った。
ちらりとで*の机を見ると、まだ横には黒塗りのスクバが引っかかっている。
少し考えた後に無視することにした。
知るかあんな奴。
たかが猫に餌やってたの見ただけなのに。
半ばムキになりながら教室から出る。
どうせどこかで寝てるんだろ、あいつのことだし。
ふんっと鼻を鳴らしてから歩きだした。
「風丸ー」
後ろから土門に呼び止められて足を止め、振り向く。
見ると土門は手に鞄を二つ持っている。
「どうした?」
「や、一之瀬知らねぇ?
あいつ五時間目からいねぇんだよ」
土門が苦笑いしながら頭をかいた。
「たぶん*と一緒にいると思うぜ。
あいつもいないし」
「だよなぁ……」
土門が俺の肩を見てまた苦笑いした。
俺は大きくため息をついた。
「それ鬼道の鞄だろ?」
土門が指差す先には俺の肩の上にかかっている黒塗りのスクバ。
つまりは*の鞄。
「…あぁ」
「お前も大変だな」
「土門に比べたらまだましさ」
「おま…」
顔を見合わせ、同時にため息をついた。
「どうせ屋上で寝てるだろうし行くか」
「……いや、俺はいいや。
土門、よろしく」
*の鞄を投げ渡して手を振る。
土門は焦りながらも鞄を受け取っていた。
「おい、風丸!」
「今喧嘩中だしよろしく」
「はぁ?」
じゃぁ、と手を降りながら駆け出す。
なんとなく*と顔を合わせたくない。
別に喧嘩をしているわけでもないけど、なんとなく。