嫌われ

□番外
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なんだか早くに目が覚めて学校への道をゆっくりと歩く。
このペースでも結構早くに学校につくな。
ぼんやりと歩いていると、少し前にあざやかな金髪が見える。
絶対*だ。
電柱の傍にしゃがんで何かしている。
近くに寄ってみて観察することにした。

「…駄目だって…もうないって」

誰に話しかけてるんだ?
もう少し近くに寄ってみると*の後ろ姿の奥に灰色の猫がいた。
首輪がないからたぶん野良猫。
*はいつにもなく笑顔で猫を撫でる。

「もー、しょうがにゃいにゃぁ…」
「っ……!」

即座に口を押さえる。
耐えろ、耐えろ俺。

「これで本当に最後だよ?
君、最近太ってきたし」
にゃぁ
「あ、こら、まだ駄目だって」
ふにゃぁ!
「こら!まーて!待てだよ待て」

*がしつけてたのか、猫はじっと目の前にある一口大に千切られたパンを見ている。
猫はチラチラと*を見た。

「………よしっ」

*がそう言うと、猫ははぐはぐと嬉しそうにパンを食べた。
あいつ学校に行く前はいつもあげてるのか?
仲良さそうだし多分そうだな。

「あ、私行かないと。
じゃぁね、オーム!」
「ぶっ!」

猫の名前らしき『オーム』に押さえていたものが爆発し、吹き出してしまった。
しまった。

「………か、風、丸?」
「…お、おはよう」
「見て、たよね。いまの…」
「…や……その…」

途端に*の顔が真っ赤になった。
猫は口の周りを丹念に舐めた。

にゃあぉ
「…………うぁぁぁぁぁっ!!」

猫の鳴き声を聞いて我に帰ったらしい*は、叫びながら走り去ってしまった。
俺より早かったと思う。
足元にすりよって来た猫を一撫でして、俺も歩きだした。
*に会ったら謝ろう。
なんか、雰囲気で。
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