嫌われ

□ たとえば僕が
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どこか懐かしい部室をぐるりと見渡す。
相変わらずボロい部室に緊張した面持ちで立っている部員。
気まずそうに顔を反らしている人たちが多数だ。
そして私から一番離れたところに立っている水無瀬さん。
正直いるとは思わなかった。

「…何から話そうか」

ぽつりと呟いた言葉に小さく震える部員に苦笑する。
不動くんに握ってもらっている右手が震える。

「………まず、私事にみんなを巻き込んだことについて謝るね」

本当にごめん、と頭を下げると息を呑む音が聞こえた。
それが誰かと分からないうちに半田くんの叫び声が響いた。

「なんで!」
「半田くん…」
「なんで鬼道が謝んだよ!
おかしいだろ!?」

半田くんは目に涙を溜めながら訴えてきた。
どうしよう、と他人事のように考え、違うんだよ、と溢す。

「なにが違うんだよっ…」
「私が君たちを利用したの」

きっぱりと言うと半田くんの口からは、と息が漏れた。

「説明すると長いんだけど…いいかな?」

ぐるりと部員の目は見ずに伺うと戸惑いながらも頷いてくれた。
私は不動くんの手を先ほどよりも強く握った。




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