嫌われ

□他でもない僕だろう
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「不動くん」

真剣な顔で*が俺の名前を呼んだ。
飛び降りてから三週間。
本人が言うには怪我もよくなってきたらしい。
最近は初めて電話したときからあまり変わらなくなってきた。
ただ声は弱々しいままだ。

「…私の部屋に、携帯とICレコーダーがあるの。
それ…持ってきてほしいんだ」
「ICレコーダー?なにに使うんだんなもん」
「……水無瀬さんの化けの皮剥がすため」

その一言に、思わずまじまじと*の顔を見た。
今までそういう話題は自然にお互い避けていた。
まさか*から切り出してくるとは思っていなかったから。

「……それで、厚かましいんだけど、それを雷門に持っていってほしいな」
「俺が?」
「……私は、いけないから」
「…いけないじゃなくて行かないんじゃねえの、お前」
「っ…そう、だね」

*が眉を潜め、目を伏せる。
深く息を吸い、息を長く吐き出す。


「私が、蹴りをつけなくちゃだよね」


「しょうがねえから近くにはいてやってもいいぜ?」
「…ありがとう、不動くん」

そのためには外出許可もらえるようにしねえとな、と笑うと*も小さく笑った。

あと新しいリストバンドを買ってやろう。
手首の傷が丸晒しだ。






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