嫌われ

□くたびれるみたいだ
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珍しく朝練ないから遅めに登校する。
ガヤガヤとうるさい下駄箱が、あたしによって一気に静かになる。
みんなあたしを指差しながらヒソヒソと話す。
直接言えばいいのにね。

「っ」

何かが飛んできて思わずよける。
ガシャッと音をたてて床で割れた生卵。
こんなもの人に投げるなよ。
どこからか舌打ちが聞こえてきた。
ここまで団結してると逆に笑えてくるな、おい。

「…なんで学校来てんだよ」
「ここは不良がいていいとこじゃねえんだよ!」
「葉月さんに謝ってよ!」

数々の罵声があたしに向けられる。
自分に大丈夫、と言い聞かせて下駄箱を開ける。
中には見るも無惨な上履きが。
深くため息をつく。
することが予想通り過ぎて呆れてくる。
用意していた替えの上履きをスクバから出して履いた。
また聞こえてくる舌打ちと罵声。
うるさいなぁ。

「ねぇ」

あたしの前に三つの影が出来る。
気だるげに見ると中々にケバい女子三人組がいた。

「ちょっと来てくんない?」
「…めんどいから遠慮しとく」

ため息混じりに言って通り過ぎようとしたけど腕を掴まれた。
しかも右腕。
力強く握られたせいで傷口が開き、じわりと痛みが広がる。

「…離せよ」

痛みを我慢しながら思いっきり睨み付ける。
相手が怯んだすきに手を振り払って今度こそ通り抜けた。
リストバンドに血、ついてないかな。
確認したいのを我慢して教室へと歩く。
教室も下駄箱同様、あたしが入った瞬間静かになった。
椅子に何もついていないことを確認してから椅子に座った。
机の中もネズミの死体とか入ってない。
流石に二日目でそこまでしないか。
机に突っ伏して目を閉じる。
嫌でもヒソヒソと話声が聞こえてくる。
うるさい。

「おはよー!」

水無瀬さんの元気な声が教室に響いた。
そのせいか一気に教室が騒がしくなった。
静かすぎるのも気持ち悪いけどうるさいのもそれはそれで面倒くさい。
結局寝れるわけもなく机に突っ伏してるだけで15分たち、朝のSHRが始まった。


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