嫌われ

□みたいな君が
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欠伸をしながら部室の扉を開くと、おおぅ…と呟いてしまった。
もちろん小さな声で。
たぶん隣にいた一哉君しか聞こえなかっただろう。

部室の中には椅子に座ってみんなと楽しく談笑している水無瀬さんがいた。

…あれ、あたし断んなかったっけ?

「あ、*ちゃぁん。
午後の授業どこ行ってたのぉ?」

上機嫌な声色で水無瀬さんがあたしに近寄ってきた。
あたしはチラ、と秋を見てみる。
秋は笑おうとしたけど頬が引きつっている。

「えっと…サボってた。
自習だったし、うん」
「わー、*ちゃん不良っぽい!」
「よーし頭捻り潰してやるよ、マック」
「マックスだって」

水無瀬さんの喋り方を真似して高い声でマックが絡んできた。
マックの頭を左手で掴む。
よくお前もサボるだろうか。

「あのねぇ、*ちゃん。
葉月ぃ、サッカー部のマネージャーになったのぉ」

顎が外れるかと思った。
え?だ、誰が許可したの!?

「えっとね、さっき部室に来てぇ、マネージャーやりたいって言ったらオッケーしてくれて!
ね?守?」
「おう!仲間は多い方がいいからな!」

ぐわぁぁぁ!!守君の純粋ぃぃ!!!
なんで誰も止めなかったんだよ!
有人は!?あああああ、今日あいつ生徒会の集まりある日だ。

「そっか。これから、よろしくね」
「うん!
葉月ぃ、頑張るねぇ」

語尾にハートか星が付きそうな言い方だったわ、今の。
…まぁ暫くは様子見るしかないかな。

「よし!練習始めるぞ!」

守君の言葉にみんながぞろぞろと部室から出る。
狭い部室が急に広く見えた。
部室の中には水無瀬さん、秋ちゃん、春奈ちゃん、あたしだけになった。

「じゃぁドリンク作ろっか」
「あ、私も手伝います!」
「葉月にも教えてほしいなぁ」
「んー、じゃぁ…あたしはタオル干してくる」

それぞれの役割が自然と決まり、あたしはタオルがたくさん入った籠を持って外に出た。


あぁ、二人とも大丈夫かな。
いやそんなに人を疑うのはよくないよ、あたし。
でも、あの、有人早く来て。

あとで源田に電話して愚痴言おう…。
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