嫌われ

□憎らしいほど
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「えっとぉ、はじめましてぇ。
水無瀬葉月と言いまぁす。
あ、ちなみに彼氏はいません☆
よろしくお願いしま〜す」

すげぇ喋り方。
いかにも頭悪そう。
そして彼氏いない情報いるか?

「水無瀬の席は・・・」

担任がきょろ、とあたりを見回す。
あたしはずっと机を見ていた。

「じゃあ窓際の前から二番目の席」

おいおい、なんであたしの後ろの席なんだよ。
風丸もげ、って顔してるし。
て、顔に出すなよ風丸。

「はぁーい♪」

ちょこちょことペンギン歩きでこっちに近づいてくる水無瀬さん。
水無瀬さんは笑顔を浮かべている。
目が合った
にこ、と笑いかけてくれる水無瀬さん。
あたしはひきつった笑みを浮かべる。

あたしは気づいた。
水無瀬さんがあたしを見る目はゴミを見る目だ。

とん、と肩を叩かれた。
壊れたロボットのようにぎぎぎ、と振り返る。

「はじめましてぇ、さっきも言ったけどぉ、水無瀬葉月でぇす。
あなたは?」
「あ、たしは、鬼道だけ、ど」
「鬼道・・・なにちゃん?」
「*、だけど・・・」

ヤバイ、香水の臭いで酔いそう。

「*ちゃんかぁ。
葉月、来たばっかりでわかんないからぁ、いろいろ教えてねぇ?」
「う、うん」

いきなり名前呼びかよ!
あの守君だって最初あたしのこと苗字で呼んだぞ!

風丸に助けを求めるように目を向ける。
風丸は微笑んで、目を逸らした。
こ、こいつ・・・!

結局水無瀬さんにずーと話しかけられてHRが終わった。

休み時間は水無瀬さんがクラスメートに囲まれたので助かった。

「・・・風丸・・・」
「すまない、俺もあいつは少し苦手なんだ」

こそ、とあたしに耳打ちをする風丸。

「あたしだって苦手だよ」
「あと、臭いが、な」
「気が合うじゃないか」

耳打ちをやめて机の中を漁る。
確か次は数学だったな。

「*ちゃぁん」

えぇ・・・。抜けるの早くね?
風丸が口を押さえて顔を背ける。
こいつ、笑ってやがる。

「*ちゃんってぇ、サッカー部のマネージャーなんでしょぉ?」
「そう、だけど」
「えぇ〜見えなぁい」

クスクスと笑う水無瀬さん。

「見えない、って」
「だってぇ、金パだしぃ、メッシュ入ってるしぃ」

風丸が吹き出す。
あとで叩く。

「まぁ、ね・・・」

第一印象って大事なんだなぁ、と思いました。

「あのね、葉月もねぇ、マネージャーやりたいんだけどぉ、どうすればいいのかなぁ?」
「「え"」」

バッと風丸を見るとバッと反らされた。
風丸・・・。

「あ、えっと・・・」

もごもごしているとチャイムが鳴った。
ありがとう、チャイム。
水無瀬さんは残念そうな顔をして後ろの席に着いた。
ふぅ、と息を吐く。
どうすればいいんだろう。
次の休み時間有人のところに行こう。
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