嫌われ
□傷つくたびに
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ボロっちい部室の外からあたしを呼ぶ声が聞こえた。
「おーい、*!」
たぶん守君。
だがしかし、あたしは今作りたてのドリンクを運ぼうとしているところ!
「ちょ、まじ待って。
今手ぇ離せない!」
負けじと大声で返してカゴを持ち上げる。
あー、おっも!
「*早く来てくれー!
風丸が怪我したー!」
「早く言えよ馬鹿やろう!!」
カゴを放りだして代わりに救急箱を引っつかみ部室から出る。
怪我>>>〈越えられない壁〉>>>私用
だから。
「*、こっち!」
「・・・うわ」
守君の隣には右頬が腫れた風丸と無傷の染岡が座っていた。
痛そー・・・。
「なにしたらこーなんの?」
風丸の前にしゃがみ、救急箱を開ける。
「染岡が蹴ったボールがゴールポストに当たってよー。
傍にいた風丸に当たっちゃったんだよな」
「風丸、ほんっとう悪かった!」
手刀をたてて染岡が謝る。
風丸が苦笑いをする。
「いや、俺も余所見してたしな。
お互い様さ。
!つめたっ・・・」
当たったところが熱をもっていたので冷えピタを張っといた。
これでいいかな。
「歯とか折れてないなら大丈夫っしょ。
ほっぺだし・・・うん、大丈夫じゃない?」
「あ、曖昧だな・・・」
「まー明日も痛いと思うけどしばらく我慢だね。
気ぃ収まらないなら染岡一発殴っとく?」
「ぅおい!」
「い、いや遠慮しとく」
笑いながら救急箱を持って立ち上がる。
「では、以後気をつけるよーに」
「ありがとな!」
守君に手を振ってまた部室に戻る。
あぁマネージャーって大変すぎて目ぇ回る。