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「夕映ちゃんさ、最近仁王くんと仲いいよね」
「んん…何て言うか…仁王くんがからかってくるだけだに?」

友人と机を向かい合わせにしてお弁当を食べる。
今さらだが前の学校では公立ゆえに給食だったので新鮮だ。
一足先に高校生になった気分と初日ははしゃいでいた。
友人のあぁだかうんだか訳の分からない言葉を受け流してミニトマトを口に放り込む。

「まぁ、あんまり仁王くんといない方がいいよ」
「…なんで?」
「仁王くん、かなり人気あるからファンクラブなんてあるんだよ」
「ファン、クラブ…」

どこの次元だそれは。
ただ格好いい中学生にファンクラブなんて。
附属ぱねぇ。

「彼のファンクラブの人たち、他の人たちと比べてかなり過激だから。
注意した方がいいよ」
「……色々突っ込みたいんだけど、え?他の人?」

友人がミートボールを箸に刺し、そう、と呟く。

「前に、テニス部レギュラーはイケメン揃いって話したわよね」
「うん、ってまさか」
「そのまさか。
テニス部のレギュラーにはそれぞれファンクラブがあんのよ」

さらりと言った友人はミートボールを口に入れた。
私もはぁぁ、なんてオバサンくさい反応をしながらエビチリを租借した。

「さらに言うなら私は幸村くんのファンクラブに入ってるわ」
「幸村くん?」
「テニス部の部長。
これがまたイケメン…いえ、綺麗なのよ」

微かに頬を染めて箸をくわえている友人が物凄く可愛く見えた。
いや実際は可愛いというより美人系なんだけど。
あれか、恋する乙女パワーか。
恐るべし。

「なんか…大変なんだねー」
「ちなみに、この学校の九割が誰かしらのファンクラブに入っているわ。
もちろん、レギュラー陣のね」
「九割!?」
「そのくらい彼らは魅力的なのよ」

ふふ、と綺麗に笑った友人がお弁当箱をしまう。
それをぼんやりと見つめ、我に帰り慌てて残りのおかずを詰め込んだ。
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