アルストロメリア

□03
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「あ、いたいた」

『……は?』


校門の前でにこやかに手を振るのは今朝すれ違った黒い人。

あぁ…嫌な予感

あいにく一緒に帰る筈だった正臣は風紀委員会で学校に残っているため、助けを求めるわけにもいかず。
明らかに私に手を振っているが、きっと人違いだと自己暗示をかける。


「どうして無視するの、椎名結衣ちゃん」


人違いじゃなかった…。


「何で名前知ってるのって顔してる」

『……っ』

「俺情報屋なんだよね。君のプロフィールを調べることくらい簡単に出来るんだよ」

『情報屋…?』

「そう、情報屋」


情報屋なんて聞いたことがなかったが、人の個人情報を調べるなんてろくな仕事ではないことは分かった。
何のために朝一瞬すれ違った人のプロフィールなんて調べるんだか。


「で、君朝シズちゃんと普通に喋ってたけど、怖くないの?あんな化け物」

『シズちゃん…?あぁ、あの自動販売機の……。
怖いというか…びっくりはしましたけど…都会ではこういうのって普通のことだと思ってたので。
私が田舎者だって知ってるでしょう?』

「だからって目の前を自動販売機が横切るんだよ?
いくらこれが当たり前なんだろうなとか暗示をかけても怖くなるのが当然だと思うけど」

『でも…バーテンさん優しい人でしたし…』


そう言うと折原臨也は静かに笑う。
何故か目が離せなくて、この人に見とれていたのだと気付き咄嗟に目をそらす。
彼はその場で意味もなくぴょんぴょんと跳ねてから私の周りをくるくると歩き回る。子供みたいな人だ。


「まぁ、今朝の事だけで君に会いに来た訳じゃないけどね」

『…他に何かありましたっけ?』

「少し君のこと調べてたら面白いことを見つけてね」

『面白いこと…?』


まだ何かあるのだろうかと眉をひそめると、折原臨也はにやりと笑う。

なんだろう…寒気がする。


「君、粟楠会に……―」


その言葉を言い終える前に私はその場から逃げ出していた。




アリストロメリア03





(文才が足りなくて書きたいことが表現できない悔しさ…)

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