アルストロメリア

□02
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通学途中変な事件に遭遇した。


黒いコートを着た男の人とすれ違ったと思ったら自動販売機が私の目の前を横切るという非日常的な光景
それも、投げたのはバーテン服の細身の青年

おかしい…いやでも都会では当たり前なのだろうか…。

暫く頭を抱えていると、先程自動販売機を投げたバーテンさんに声をかけられる。


「おい、お前大丈夫か?」

『あ、いえ!当たってないので…!』


自動販売機を投げる割に優しげな彼に少し驚きながら首を振る。


『あの……』

「何だ?」

『逆に、大丈夫ですか…?』


彼の手の甲には切られたような傷があった。
こんな切傷に絆創膏で対応出来るのだろうかと思いつつ、鞄から絆創膏を数枚取り出し、差し出す。


「…………」

『ごめんなさい…ガーゼとか持ってなくて』

「いや…ありがとよ」


バーテンさんは小さく笑って絆創膏を受け取った。


「てかお前学校行く途中じゃねぇのか?時間大丈夫か?」

『あ!え、うわ!遅刻!』


携帯が表示する時間に青ざめる。
苦笑するバーテンに礼をし、さっきあったことは都会の日常なんだと一人で納得して学校への道を走った。






『椎名結衣です。よろしくお願いします』


そして一礼

思いのほか静まり返ってしまった教室に、転入生の挨拶にしては素っ気なかっただろうかと反省する。

どうやら帝人くんと噂のメガネっ子ちゃんは別のクラスらしい。
そして先生が指定する席は運良く正臣の隣だった。


『おはよう正臣』

「おぉ!結衣と隣なんてラッキー!」

『私も正臣の隣で良かった!…あー、ねぇ…一つ聞きたいことがあるんだけど…』

「ん?なになに?」


私は正臣に朝あった事を話した。
すると彼は「あぁー」と呆れたように頭を抱える。


「昨日のうちに言っておけば良かったな…。いいか、あの二人には関わるなよ!特に折原臨也には」

『折原臨也?』

「黒い方だよ。あいつは厄介だから絶対に関わるな。とにかく無事で良かったよ」

『分かった、ありがとう』


絶対に関わってはいけない二人。

黒い人はすぐに居なくなってしまったから分からないけれど、バーテンさんは悪い人じゃなさそうだった。
都会では優しそうな人が実は悪い人って事なのだろうか。

でもきっともうあの二人に出会うことはないのだから心配する必要もないか。



アロストロメリア02



(ベタな展開ですね、はい)

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