短編ブック

□桜散らし
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季節は春 桜が少しずつ散っていく頃ー…


名前は屯所の桜を見ていた。

「あ…花びらが散っちゃう……」
名前は落ちていく花びらを追いかけてみた。

どんっ
「……っ!?」
びっくりして声が出なかった
(何かにぶつかった)

恐る恐る顔をあげると……

「さっ斎藤さんっ!?」
「……………」

斎藤さんは黙って桜を見ている。
(怒ってる!?)

「えっと………すみませんっっ桜に見とれていて」
「好きなのか?」

いきなり質問された。

「……はっはい!…斎藤さんもお好きなのですか?」
「……あぁ」

ビュウッと風が吹いた。

すると桜がいっせいに舞い落ちる。

「なんか、さみしいです……こんなに綺麗なのに少しの間しか咲かない…ずっと咲いていてほしいのに………」

「でもやはり散るな……」

斎藤さんは少しさみしそうに言った。

「じゃあ斎藤さんが私の傍にいてください!
それならさみしくないですし!」

ふと、斎藤さんを見ると頭の上に桜の花がついていた。

「桜の花がついてますよ」
名前は手を伸ばした。

斎藤さんは少し屈んでくれた。

すると

「斎と……さ………?」

軽く斎藤さんの唇と私の唇が触れた。

な……に……が!?
呆然と立ち尽くしていると持っていたはずの桜の花が無くなっている。

「あ………」

桜の花は私の髪にあった。
斎藤さんがつけてくれたんだ・・・

「花は名前のほうが似合う」

私の頬は桜に負けないほど桃色に染まった。
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