大友宗麟観察そのニ

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「ヒャッホオオオオオオオオ!!?」


『ギャアアアアアアアアアアアアア!?』



尾張の町を立派な馬が駈けていく、その馬の上には一人は笑い、もう一人は少し泣きながらも絶叫していた。

『ちょ、信長あああああ安全運転!乱暴にも程があるだろうが!』

「何人たりとも、オレ様の前は走らせねえ!」

『止めてええええええ誰かこの馬鹿止めてえええええ!?』

爆走している馬と、尾張のうつけを見て、町の人は笑い見送る。後ろにいる紫智には、同情に似た感情を送っていた。同情するならこのアホ止めろ。

「信長様ーーすっげー!かっこいい!」

「怪我にお気を付けくださいねーー」

「後ろの娘は、もしかして想い人ですかーー」

『「ふざけんな!」』

同時に後ろを向き、怒鳴れば町の人達の笑い声が聞こえてきた。
ちくしょう変わりやがれ!ああ、また吐き気がこみ上げてきた。

『っうぇ………だんだん酔ってきた』

「飛ばすか?」

『んな事したら、ますます酔うだろが』

「よし、飛ばすぞ!」

『ざけんなボケ長ああああああ!?』

一気に加速した馬に、一気に込み上げるリバースする予感。視聴者様に大変失礼なことになる……気持ち悪い。

『で……何処に………行くんだよ』

「近くの森だ」

『森?』

「………なんだ、文句あるのか」

『文句はねーよ、意外って思っただけだ』

こいつには、森より荒野が似合いそうだけどな。
それにしても、何故いきなり森に行くんだろうか。こんなうつけにも、癒しくらい必要なのかもな。

『……サンキュ、信長』

「だから、意味わからねえっつの」

『教えねえよ』

「蹴り落とすぞ」

『一緒に落とすぞ?』

ずっっと尾張に居て、退屈だったあたしにとって、久々に外に出るのは最高に嬉しい。

『あー歌いてえ』

「どうせ音痴だろ?」

『カラオケの紫智様を舐めんなよ!』

あたし様のカラオケテク、舐めんなよ!昔から盛り上げ係はオレの仕事だ!
ブリ●ラのコンビニとか、ブ●トラの青海苔、チルノとか、そんなのばっか歌ったわ!

「空桶?」

『違う!変換ミスにもほどがあるわ!』

「……変換みす?」

『ちょ、前を見ろ前を!』

目の前に大きな木があり、慌てて信長は馬を移動させた。しかし、そのゆれに対応できなかった紫智は、一気によろけた。

「うおっ!?馬鹿!さっさと教えろ!!」

『てめえがちゃんと見ろやボケがっ』

急に曲がられ、流石にバランス感覚が崩れた。やべえ、落ちる落ちる。今掴める物………あった!

『ちょ、無理!』

「お、お、おま!?急に抱きつくんじゃねえよ!離れろ」

『吐かないから落さないでええ!』

余計に落ちまいとギュッと掴んで、挙句の果てに紫智は信長の体に抱きついた。この行動に驚いたが、やがて顔を赤くして紫智に

「少し離れろ!頼むから離れろチビィィィィ」

『いやじゃあああああ』

当たってんだよボケ!上半身の首より下で、腹より上の胸が当たってるんだよ!思ったよりある胸が当たってるんだよ!??

『そこまで言うのか!傷付くぞ』

「勝手に傷付くけ!だから密着すんなあああああ」

『いいいいやああああああ』


結局馬を止めるまで、信長の短く年頃の心は、極限まですり減ったらしい。
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