大友宗麟観察そのニ

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…………あ。

妙に揺れる感覚に、ゆっくりと意識が覚醒してきた。………なんと言うか、腹を中心に負担がかかっている気がする。
すぐ近くで、馬の蹄の音がパッカパッカとしていた………なんで?

『ん………ぁ?』

起きたばかりで擦れた声が出た。目蓋を開けようと頑張るが、睡魔が勝る。もう少し、寝ても良いかな。

「ん?目が覚めたか?」

『………え゙?』

だいぶ前に聞いたことがある声、よりは少し高い声に驚いて目を見開いた。

目の前に、リズムよく動く地面がはっきり映った。

『え、ちょ、は、ココ何処!?』

「お前、なんで川の近くで寝てたんだ?」

『こっちの質問無視?』

それより、人をくの字にして馬に乗せるなよ!?人をちゃんと労れや!
だからか、腹が圧迫されたのは!地味に腹が中心的に痛いんだよ、踏み潰されたカエルの気持ちがわかった。うん、痛いだろうな。

『ちょ、止めて!一回馬を止めて!!』

「あ?面倒くせえ、勝手に起きろ」

『んなことしたら、絶対に落ちるだろが!?』

それにこの声あれだ、間違いなくあの方だ。バル●トス。
知らない方は、サ●エさんのアナゴさんを思い出してね。

「ち、馬鹿じゃねえか」

『ってかお前は誰!?』

「オレに名乗らせんなら、お前の名前を教えろ」

『……紫智ですよ』

「お前チビの癖に旅でもしてんのか?オレは織田信長様だ」

あっさり名乗った名前に、思わず目眩がした。まさかとは思ったけど…………。


何故、過去に遡る。
戻れよ現代に。


『尾張の領主………』

「あ?織田を知ってたのか?お前尾張に居たか?」

『いえ、違いますけど……』

当時の織田は、かなり小さな領地で、織田の名も無名に等しかった。
驚いている信長を見ながら、オレは疑問をぶつけた。

『それよりも、何故私を助けたのですか?』

「…………」

『答えてください』

急に馬が止まった。と同時に、あたしもよろけた。おい、急に止まるんじゃねえよ。危ねえだろ、腹の物をリバースするだろうか。

『あの……織田さん?』

「…………」

『お〜い、大丈夫ですか?』

「敬語禁止、名前で呼べ、今からオレと尾張に来い」

『…………はい?』

今、このうつけはなんて言った。
未来にあたしと対決して、さらにあたしがぶっ飛ばす奴を。未来天下を取りかけた奴を、名前で呼べと?

「わかったか紫智」

『あ、いや、さすがにそれは………ねえ?』

「オレの命令だからな紫智!家に着いたら、たっぷり話を聞く!」

………紙、髪、上、神、ゴッド、ファザー。今すぐ戻せ、マジ頼む。
魔王(young)がいた、ニヤリと笑ったよこの人。玩具見つけた子供の顔だったよ。

「ん」

『え?』

差し出された頼もしい手、恐る恐る伸ばせば、その手を引っ張られた。一気に広がる視界と、目の前に移る広い背中に、驚いた。

『うおっ!?』

「しっかり掴まれよ!飛ばしていくぜ」

『あ、ま、待って!あたし乗り物酔いが酷いんだって!?』

「気にすんな」

『違う!そういう問題じゃねえええええ!?』

「ひゃっほおおおおおおお!」

『うひゃあ!?』

テンション高く、馬を走らせ始めたバカ殿に、紫智はできるだけ声を出してツッコんだ。腹から息を吸い、目を見開いて、紫智は叫んだ。

『ざけんな、降ろせボケエエエエエエエエエエ!!!』

どうしてこうなる!?
なんでこうなる!?
誰か戻せえええええええええ!!!?

「だが断る!やっはああああああああああ」

『ぎゃあああああああ』

木霊する紫智の悲鳴に、微かに信長は笑っていたのは、紫智は知らない。
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