大友宗麟観察日記!

□38
1ページ/3ページ




『うわ………七時に起きれたよ』

朝日がまぶしくて、目を擦りながら起き上がった。珍しすぎる。
いつもなら、まつさんに起こされて八〜九時時に起きているのに。

「………あれ?珍しく紫智ちゃん起きてるね?」

『ああ、慶次さんおはよ』

「おはよう」

『今日さ………いや、なんでもない』

「ん?まあいいや、朝飯食べようぜ!」

『りょーかい!』

慶次の後ろに付いて行き、まつさん達にあいさつしたら、今日は雨って騒がれた……目の前が汗で歪むわ。

『おかわり!』

「はい、どうぞ」

『まつさんの飯うま〜い………幸せだな』

「どうしたの、急に?」

『普通って幸せだって感じたの……おかわり!』

「「おかわり!!」」

「はいはい、たんとお食べくださいませ」

少し慣れてきた、大盛りのご飯と美味な味を噛みしめて、あたしはケラケラと笑った。



バイトのおっちゃんには、午前の内に話を付けた。かなり引き止められた。けど無理は無理だ。

『今まで本当に、ありがとうございました』

「いつでも待ってるぞ!また顔出しに来い!」

『っはい!』

「ほら、このお茶好きだっただろ?」

『おっちゃん………愛しているーーー!!』

未来に帰ったら、前田に行こうかな。おっちゃんびっくりするだろうね。




『ねねさーん』

「あら、おはよう紫智ちゃん」

『遊びに来ましたー』

「お茶菓子があるから、縁側で待っててね?」

ねねさんが持ってきたお菓子を食べる、和菓子は苦手だけど、今日は食べたい。
でないと、二度と食べられないかもしれない。

『やっぱ甘いな〜………甘くない和菓子ってあるかな?』

「それ、あったら面白いわね。紫智ちゃんが作ってみたら?」

『あ、いいっすね』

なんか、歴史に影響しない程度の物、宗麟に作ってやろうかな…。あ、不味いって言われそう。

「慶次達はどうしたの?」

『さあ?今日は別行動なんで』

微かに奥から音がする………あの二人、先に来ていたんだな。このヤロウ…。

「何かあったの?二人が心配していたわよ?」

『………明日、ここを離れます』

あ、また後ろで音がした。きっと、どっちかが驚いたんだろうな

「二人には言った?」

『ねねさん、伝えてくれないかな………なんか、言い難かった』

「だめよ、自分で伝えなきゃ」

『そう……ですよね』

「また勝手に居なくなったら、二人が怒るわよ?」

『あ、特に秀吉さんは嫌だ。拳骨痛いもん』

これは本音、秀吉の拳骨はマジ痛い。流石はゴリ………クソゴリラ。
うん、今日は少し無礼講にしよう。ゴリラはゴリラなんだよ。

『ねねさん、礼儀を教えてくれてありがとう。今まで、あたしを同等に扱ってくれる人居なかったから』

腐っても大友の姫、あたしを厳しく叱る人なんていなかった………宗麟が容赦ねえ。
前にあたしを叱った家臣を、いくら説得してもクビにした。

『………あれ以来だよな、あたしを叱る人が減ったの』

「紫智ちゃん?」

『いや………世界一馬鹿な兄を思い出したんです』

「もしかして、お兄さんが迎えに来るの?」

『いいえ、神様が迎えに来るんです』

「神様………ふふ、冗談がうまいのね」

『本当なのに……』

笑いながらねねさんに言った。冗談に聞こえたらしく、笑っている……本当なのにな。

『ねねさん……最近、変なんです』

「変?」

『あたし、ずっとお兄ちゃんが世界で一番好きです………なのに』

最近、お兄ちゃん以外に大好きな人が増えた。

宗麟、宗茂さん、大友のみんな、家康、長曾我部、それにねねさん、慶次に秀吉。

『解らないんです……大切な人が増えすぎて、一番が解らない』

苦笑いをしながら、あたしはねねさんに言ってみた。ねねさんは、少し考えた後に笑った。

「紫智ちゃん、それはね………」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ