大友宗麟観察日記!

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『ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!』

早い早い早い!!
大事な事だから三回言うけど早いわ!?明らかに人が回避不可能な速さで迫ってきている。馬鹿じゃねえの!?

『嫌なフラグが出たああああ!!』

「おや、濁流ですね」

『なんで冷静なの!?逆にあんたすごいよ!!』

「今更どうしようもありませんからね、濁流に人が走って逃げれると?」

『あんたなら飛んで逃げれそだけどな』

「この細い木にですか?濁流で折れるのが落ちでしょう?」


ここで選択肢!!

一.飛ぶ
ニ.逃げる
三.あたしは死なない
四.レッツ!ザビー!

orz
駄目だ、パニックした頭じゃ全くろくな意見が出てこない。
最悪なことに、ザビーが意見に入ってきやがった。滅べザビーさんの毛根。

「大丈夫ですよ、こんな事で死ぬわけないでしょう?」

『お前の自信が不思議じゃボケエエエエエ!!!』

どんどん迫ってくる濁流。オレはたぶん、大丈夫だろう、身体能力が発達した体は長い間息も止められた。
前に、大友の風呂で息を止めたら半刻……三十分潜ったらしいね。

『……ったく!だからあたしは自分が嫌いなんだよ!!』

「急になんですか?」

『いいから!』

迫ってきた水に流される前に、素早く明智の方に走った。
肝心の明智はあたしの行動が理解できずに、興味津々とこっちを見ていた。

『息止めて!』

「結論そのつもりですよ?」

『助けねえぞ!?』

イラっとしながらも、はぐれない様にしっかり手を掴みながら濁流に備える。



『――――っ!?』


流石に、流れる力は強く。簡単にどんどん流されていく。目を開けるが、濁ってどっちが上かは分からない。
けど、その手を放さないように気をつけながら、粒子を変形させた。

『ん………』

こいつを未来、たくさんの人を殺す。こいつは未来、大きな災いばかりを降り注く種になってしまう。
けど、こいつをここで殺すわけには行かない。殺せない。

足に付けたスクリューをフル回転させて、一気に上を目指す。

『っグフ!?』

間違えた。思いっきり頭をぶつけた……痛いんだよ、だけだよこんな所に石置いたの。呪うぞ、ゴラ。
ずきずきする頭の痛みを堪えながら、なんとか上に上がっていく。

『っぷは…………はぁ……はぁ…』

下に一回行ってぶつかって、上に来た。息を
止めながらの作業は、流石にきつかった。片手に変態あり………あ。

『おい………大丈夫かよ?』

「…………」

『え?お前めっちゃ大丈夫そうな発言してたよな?あれまさかのハッタリ!?』

変態も濁流に勝てず、か。意識はないようで、慌てて顔を水中から出す。変態、おい返事しろや。

『気絶してる……?』

なら、大丈夫か……。
この技を使うのは、前に武田信玄が刺されたとき以来。うまくいく自信はないがやるしかない。

『水よ引け!我に道を作れ!!』

祈るように紫智が声を上げると、静かに紫智を中心に水が弾かれていく。

『……できたのか?』

ゆっくり地面に足をつけたら、翼で飛び濁流の届かない高いところを目指す。
なんとか届かない場所にたどり着いたとき、
一安心しつつも、火を起こすための行動に移った。

『荷物は無事か……よかった』

しかし、塗れてしまったものも多い。さて、どうしようと思ったところで隣の明智を思い出す。
目は閉じているが、呼吸は確認できた。しかし、このままではニ人とも風邪を引くのがオチだろう。

『………仕方ない、よな』

己の生き仏ぶりに呆れながら、明智の傍で火を起こし、粒子を作った毛布をかぶせておいた。

『お人よし………か、あたしも変わったな』

昔なら、きっと置いていっただろう。宗麟達と一緒に居て、あたしは変わった。
改めて、考えてしまう。昔あたしが求めた強さは、はたして本当の強さといえたのだろうか。
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