大友宗麟観察日記!
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『いらっしゃいませ!』
「団子二つお願いね?」
『はい、ありがとうございやす』
「お嬢ちゃん、こっちお茶お代わり!」
『はーい今行きます!』
やあ、皆さん。
あたしは今、慶次さんが紹介した団子屋にてバイト中だよ。なかなか大変だが、忙しい方があたしにあう。
「おーい穣ちゃん!こっちみたらし団子五つ」
「穣ちゃん金髪で珍しいな、どこから来たんだ?」
『へへ、あたしは九州から来ちゃいました』
「紫智ちゃん!団子持っていってー!」
『あ、はいはーい』
団子屋のおっちゃんに急かされて、慌てて団子を運びに行く。
その間にも、新しいお客さんが来て、お店はずっとてんてこ舞い。休む暇すらない。
………団子屋って意外に儲かるんだな。
『はい、みたらし五つお待ちどう様!』
「ありがとう、お嬢ちゃん」
『どうかご贔屓に』
笑いながら相手をして、お辞儀をする。それ位なら大友で習得したしな。
伊達に大友の聖女やっていないぜ?
「紫智ちゃーん!見にきたよー」
「………この店は、こんなに客がいたか?」
『おおー!いらっしゃい二人共!』
「とりあえず、団子四つちょうだい!」
『了解!』
オレから注文を聞いた紫智ちゃんは、店の中に入って行った。その様子をじっと見ていると、オレらの周りの大人の声が聞こえた。
「可愛いよな〜あの娘、特にあの笑顔」
「そうそう、看板娘って感じかもな」
「将来が楽しみだべなぁ」
団子を食べながら話す町の人たち、紫智ちゃん目的で気のせいかお客さんが居る気もする。
「………なんか人気者だな〜紫智ちゃん」
「そうだな………気のせいか慣れていないか?」
「伊達に、九州から歩いてきてないよな」
「…………うむ」
『はい、団子どうぞ』
話がちょうど終わった頃に紫智ちゃんが団子を持ってきた。
「え?オレら頼んでないよ」
『あたしのおごりだって』
「よいのか?」
『バイト紹介のお礼だよ』
「ばいとって何?」
気にしない気にしないって、笑いながら紫智ちゃんはオレと秀吉の間に座った。
店の在庫が無くなり、しかも材料も無くなったらしい………これには流石に驚いた。
「お疲れ様」
「ウキ!」
『夢吉ー、団子屋で頑張ったよー』
肩から飛び移った夢吉を頭に乗せて、紫智も慶次達の隣に座った。
「紫智、今日は疲れたか?」
『全然、寧ろすっごく楽しかった』
「そうか、一本いるか?」
『いや、甘いの実は苦手なんだ』
「え!?なんか意外」
『餡子とかが苦手でね、アッハッハ』
から笑いをしながら、頭の夢吉で遊び始めた。頭を撫でながら、くすぐったりしている。
「甘いの苦手で団子屋で働くって………」
『嫌だなーお金さえもらえれば、なんだってやる気だよ』
「うわ、爽やかな笑顔で腹黒い発言」
「強欲はよくないぞ?」
『愛より金だろ?』
「「……………」」
愛<金
子供なのに、悲しい位に紫智ちゃんは現実的。けどそれって、何だか苦しく感じる。
「紫智よ」
『何〜秀吉さっイデ!?』
秀吉が、力加減をしつつも少し強めに紫智の頭を叩いた。痛そうに頭を擦りながら、紫智ちゃんは秀吉を見た。
『何するんだよ?』
「自分の胸に聞いてみろ」
『………』
ワカリマセン。
って言ったら死亡フラグが立つだろうな。
しかし、わからない。
「わからぬか?」
『………うん』
「ならば、もっと考えるのだ。よく考え答えを出せ」
今度は優しく紫智の頭を撫でていた。考えている紫智は、気付いていないが。
『………答えは、今度まででいい』
「うむ、いくらでも待っているぞ」
「あ、紫智ちゃんなら忘れそう」
『なんか酷い』
二人は似てはいないけど、オレ達って兄妹みたいに仲が良いよな?この場合って、オレも兄だよな。
『今日はねねさんに会いに行く?』
「いや、今日は忙しいんだって」
『残念だね、秀吉さん』
「っ!紫智!!」
『キャーキャー!コワイヨー!!』
「棒読みすぎっ!!」
「待たぬか紫智っ!!」
『やっだよーん』
逃げるように走っていった紫智を追いかけ始めた秀吉を眺めていたが、はっと気づいて慌てて追いかけた。
「ちょ、二人とも置いていかないでよーー!」
「ウーーーキー」
「本当に待ってエエエエエ!!」