大友宗麟観察日記!

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「紫智様が脱走したぞおおおおおおお!!?」

「つかまえろおおおおおおおおおおおお!!」

「またですか、紫智ーーー!!?」

部屋を覗けばもぬけの空、机の上には

『城下にいってきまーす』

と書いてあった。
当然だが、一気に城中が大騒ぎになった。

「探しなさい!城下中を徹底的に調べ上げなさい!!」

「「「「「っはい!」」」」」

「まったく、なぜ脱走するのですか……解せません」

最近余り食欲がないので、心配をした矢先に脱走していった紫智。

今頃は城下で甘味屋にでもいるとは思いますが………はやく、見つかりなさい。貴方がいないと、不安で仕方がないんです。




『あーあ、なんでこうなるかな?』

「捜がせええええええええ!!!」

『っげ!?』

とっさに近くの店に入って、信者を交わす。
一応髪は前田慶次みたいに上げているし
大丈夫だよな?

『過保護なんだって、本当にみんな……』

あたしだってもうすぐ十四だぞ?もう三年で元の歳になるぞ?
宗麟の過保護、気のせいか歳をとるたびにだんだん磨かれてないか?

『そろそろ、宗麟にも自立させないとな……』

もうすぐ魔王の元に行く、あたしがいなくても宗麟が大丈夫なように……いや、案外大丈夫かもな?うん、大丈夫な気がして生きた。

「紫智様!?ここにいたのですか!!?」

『っげ!見つかったし!?』

「お待ちください!」

『逃げろ!』

「紫智様がいたぞおおおお!!」

またかよ!?もう少しは休ませろっての!!細い道を選んで信者達をまいていく。

『しつけえええええええ!!?』

「みなが心配しているのです!城へ帰ってください!」

『あたしの前に、塩法師丸を考えろ!馬鹿かお前ら!』

こいつらも、だんだん鍛えられたな。
昔はすぐに体力不足でばててたのに、走りながら反論する体力も付いたか。

『さて、次は――っ!!?』

「静かに、大丈夫だから」

急に体が引っ張られて、大きな体の後ろと壁の間にに隠される。ん?この声もどっかで聞いた気がする。

「っな!?いない!?」

「どこにいったんだ!?」

「探せーー!」

「そこの者、こちらに子供が来なかったか?」

「えー子供なんか、来なかったけど?なあ夢吉」

「うき!」

「わかった、感謝する!」

遠くに消えていった足音に、完全に聞こえなくなったら男が退いた。

「お譲ちゃん、城の子供なの?」

「ッキキ!!」

『うあ!?』

急に頭に手を置かれて、乱暴に撫でられた。その手から肩に猿が乗ってきた。この猿………あ!

「それにしても、結構な数から追われているね〜」

『あなたは……』

「ん?オレは前田慶次にこっちは夢吉、あんたは………え?」

『ありがとうございます、おかげで助かりました………あの?』

急にあたし
の顔を見て、こいつが固まった。何?醜いの?みたらマズいの?

「ねえ、譲ちゃん……お姉さんとかいる?」

『え?』

「従姉妹とか姉妹とか、それで名前が紫智って言わない?」

『紫智?』

「そう!あんたにそっくりだと思うんだけど!!」

おい、同じ名前の奴がいるのか?あたしと同じ顔の奴がいるのか………ああ、かわいそうに。かわいそうに。

「なあ、どうだ?」

『紫智は、私の名前ですが……』

「………え?」

『あ、いや、だから紫智は私の名前ですが……ごめんなさい』

凄い期待した顔の慶次に、なんだか申し訳なくなってしまった。はい、そっくりでごめんなさい。

「あ、いや、謝らせるつもりはなかったんだ。ごめんな?」

「キキー」

『夢吉〜お手!』

「犬じゃないって」

「ウキャ!」

『っよし!』

「夢吉イイイイイイ!」

犬みたいに言ってみたら、お手しちゃったよ、この猿。賢いな、お前。

「やっぱ似てる、この発想、この感覚、このボケ」

『そんなに似ているんですか?』

「ああ、敬語はいらないよ紫智ちゃん、堅苦しいだろ?」

『あ、うん。わかった』

「紫智ちゃん、よろしくな!」

『よろしく、慶次さん!』

「ウキーー!」

『おっと、よろしくな夢吉』

「ウキャ」

満足そうに夢吉が頷くと、オレの肩に戻った。駄目、無視、絶対。

「そういえば、あんた大友の聖女って知ってる?」

『え?』

前田、お前の目の前にいる人物の名前と、聖女の名前を良く比べろ。


それだから、永久NEETなんだよ。
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