大友宗麟観察日記!
□19
1ページ/3ページ
「紫智、何しているんですか?」
宗麟が部屋を覗くと、紫智は筆を動かしつつ、机の上の紙を見ていた。
『ん?某さんと家康からの手紙の返事』
「…………某?」
『うん、某さん』
「誰ですか、それ?」
『まあ、毛利軍の知り合いかな』
紫智は知らない間、色々な方と知り合ったようです。
兄としては複雑です。
『何かあったの?』
「…………」
『塩法師丸?』
「なんでもありません」
『そうか』
複雑そうな顔をした宗麟だったが、顔を振りながら紫智の隣に来た。
『塩法師丸ーあたしはそろそろ外出した「駄目です」
『外「駄目」
『そ「駄目ったら駄目です」
『………I want to go away「Don't go away」
小さな南蛮攻防戦が繰り返された、が宗茂や信者のみなも反対するから外出できずに、監禁に等しい。レガートさんに至っては、
「紫智様、外出はいけません!紫智様にもし倒れられたら私は」
って、ガミガミ言われた。
『痩せたくらいで、いいじゃんかよ』
「昨日もあまり食べませんでしたね、宗茂から聞きました」
『腹減らないの』
「食べなさい」
『人の後ろで爆睡した兄を置いては食べれませんでした』
「それはそれ、これはこれです」
『うわ、自分勝手だ』
「僕の辞書に自分勝手はありません」
『もういいわ』
やっぱ、こいつの前世は聖徳太子だ。結局一度も起きなかったくせに。
『じゃあ、何時なら出れるんだよ』
「もう一週間位ですかね、城下にも紫智は療養中といってあります」
『一週間か』
「どうかしましたか、退屈すぎだ言いますか?」
違う、あと六日しか無い。
時間が無いだけだよ。
何も知らない宗麟に笑いながら頷き、安心させた。
『なら、じっくり休みますかな』
「道場も駄『さあ、行きますか!』
「紫智ーーーー!!?」
『じゃあ!あたしはそういう事で!?』
「っ宗茂!!!」
「はい!」
『ぎゃあああああ!?宗茂さん何処から出た』
「「オレ達もいまーす」」
「紫智様!無理は絶対にいけません!!」
『ピッチャー&キャッチャーにレガートさん!?』
脱走だよ、全員集合かよ!
みんなスタンバイしてたのか、ありえねぇ!?
『逃げる!』
「「待てーー」」
「「お待ちください紫智様!」」
「待ちなさい紫智!」
『嫌だああああああ』
走り逃げる、追いかけて来る後ろの大群。
捕まったら絶対に三人に怒られる。(塩、宗、レ、の三人に)
嫌だ。
体が鈍ったら一週間後に備えられない。
『今は、鬼ごっこで我慢してやるさ!さあこい!』
「待ちなさーーい!」
『忍法、天井へGO!の術』
「あー!!?紫智様危ないです」
紫智は大きく飛び、天井裏へ逃げ込んだ。
「宗茂!早く紫智を捕まえなさい」
『じゃあねーー』
「お待ちください紫智様ああああ!!?」
見えなくなった紫智を追うために、慌てて信者達が梯子を取りにいく。
「紫智、覚えていなさい…………ふふふふふ」
『っ!?』
寒気が………いやな予感。まあ、今のうちに早く逃げよう。勝ち逃げ勝ち逃げ。
『「……………あ」』
天井には、忍び。
これ常識らしい。