大友宗麟観察日記!

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家康をホンダムが迎えに来るまで、あたしは度々家康と話していた。お互い、暇潰しには丁度いいしな?

「そういえば、紫智は忠勝をなんで“ほんだむ”って呼ぶんだ?」

『だって、見た目からしてホンダムじゃね?』

「その、ほんだむって誰なんだ?」

『えーと……武装していて雷で起動する、すっごく強い最強カラクリ?』

「紫智!忠勝は忠勝だって言っただろうが!」

『だったら忠勝は人間だってここで断言しろや!?』

「忠勝は忠勝だ!」

『ウガアアアア!?噛み合わねえよ!?』

討論しながら吠えながら、紫智と家康は話し合った。話している内に、話題はお互いの部下になっていた。


『………あ、それでな、宗茂さんに向かって奥さんが関節技をかけてな』

「あの立花にか!?」

『もー塩法師丸の顔が真っ青!あれは笑えたわな』

「そういえば忠勝も、前に庭の木をひっこ抜いて大変だったな………」

『何があった、戦国最強……』

「確か…酔っ払った時に、ノリでやったらしいな」

『軽っ!?そんなんでいいのか本多忠勝!』

想像できない、酔っ払ったホンダムって……無理だわ。想像ができないな。無言で、「…………!」って位しか表現の仕様がないホンダムが?

「三河の皆で、アレは面白くて笑ったな〜」

『宗茂だって面白いぜ?オレの家で、踏み絵ができないから毎回迂回するし』

「迂回って、どこだ?」

『その名もギロチン横丁』

「ぎろちん?」

『鋭利な刃物が上から落ちてくる、実に不思議な横丁だけど?』

「そんな危険な横丁なるのか!?」

『ああ、普段は降ってこないよ』

「なんだ………」

『あ、けど塩法師丸が間違って押しちゃって起動した時あったんだよね』

「本当に大友は大丈夫なのか!?」

『あはは』

笑い合う、こんな穏やかな日常が続くなんて、思ってはいない。ただ、今はこの平和な時間を楽しみたい。




「紫智、1つだけ教えてくれないか?」

『なんだ?』

話題が尽きた時に、家康が真剣にこちらを見た。

「この争いが無くなれば、未来に平和は来るのか?」

『……どうだと思う?』

あえて何も答えずに、紫智は家康に聞き返した。
黙って考える家康を、じっと見つめた。

『………1つだけ、教えてやるよ』

独り言のように、紫智は話した。

『この世に生きる者の行動全てが、未来を今も変えている』

「生きる者、全てが…」

『家康自身、運命や未来を変えてるけど、簡単に変えられもする』

「なら、儂が元親や紫智の未来を、変えてしまう時があるのか?」

『もちろん、いろいろ変わったと思うけど?』

「それは良いことなのか?」

『その答えは、あたしはどちらとも言わないさ』

答えでない答えに、よくわからない顔をした。その顔をつねってやった。

「いててて!何をするんだ紫智、儂は真剣に!」

その言葉を遮り、紫智は家康に聞いた。

『ここが戦場で、目の前にある武将がいる、貴方は殺しますか?』

「………?」

『仮に殺すとするなら、貴方は敵を殺した英雄だ。しかし、殺された方から見て憎い悪魔だろう』

紫智は家康から視線を外し、小説の説明ように感情なく話した。

『逆に殺さないなら、貴方は何故殺さないと責められるだろう。しかし、相手の武将の家族誰も悲しまない』

さあ、答えは決まったか?と、表情が戻った
紫智が聞けば、じっくり悩んだようだったが最後に答えを出した。

「………正しい答えは、どちらでもあり、どちらでもない?」

『……正しいなんて考える事自体な、意味がないんだよ』

「紫智は、未来を変えたいって言っていたな?」

『ああ、勿論な』

「それは誰の為だ?」

『あたしが守りたい、たくさんの仲間の為かな?』

当たり前のように答える、紫智はやはり変わっている。けど……これが一番紫智らしくて儂は好きだ。

「……儂は、紫智の力になりたい。紫智を助けられるようになりたい」

『ありがと家康。けど、あたしより先にまず天下でも取りな?』

ケラケラ笑いながらあたしが言うと、何故か家康はすこし残念そうに見ていた。

『…もし貴方が、家や国に囚われずに、1人の人として生きるなら、考えて選びなさい』

「?」

『本当に選びたい道を、悩み考えて選びなさい』

「紫智……?」

『それが、私が貴方に言える精一杯の言葉です』

その言葉は儂に?
先ほどより大きな声で話す紫智はこちらを見て笑いながら言った。

『さあ、飯でも食うか!』

「確かに、腹が減ったな……育ち盛りか?」

『飯持ってくるから、待っててな?』

「わかった!」


廊下に出た紫智は、さっきまで居た武将の方をじっと見た。
言葉が伝わったか解らないが、伝われば良い。

『さて、飯ー』

「機嫌が良いな?」

『べっつに』


聖女の鼻歌が、にぎやかな廊下に小さく響いた。
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