大友宗麟観察日記!

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こんにちは、立花です。
今日は、皆様少し疑問に感じている事を手前が説明いたしましょう。

『宗茂さん、どこ見ているの?』

「あ、気にしないでください」

『……そっち壁』

「紫智、そっとしておいてあげなさい」

『んー』

紫智様は姫君なのに、あたしなどといって大丈夫なのか?
……ご安心ください、紫智様は第三者に対しては、とても丁寧に対応するのです。

城下の者の顔は覚えており、見覚えの無い者や他の城から来た者には、教養ある姫君のように振舞っておられます。


『お初にお目にかかります。大友の娘であり、塩法師丸様の妹の紫智にございます』

あのように、普段の紫智様とはまったくの別人のように大友の娘として振舞っております。我が君の隣で大人しく座り、ジッとしている。

しかし、大友の皆にはなぜか紫智様の心の声が聞こえるのです。

「とても教養ある娘で、確実に大友は立派になるでしょうな」

『そんなことはございません、私など、まだまだ勉強不足にございます』
ねみぃ……早くと道場に行きたい

「慢心せずに精進する、とても良い心構えである」

『もったいなきお言葉、ありがとうございます』
もう、そろそろ帰れって。もう十分だろが。バーカ、ハーゲ

手前も含め、皆心の中でツッコんで入るが顔には出さない。表面は完璧だが紫智様の心は真逆の事を思っている。

……心配は無いのですが、時々手前は紫智様が怖くなります。

その笑顔が時々黒い影が映るのは、きっと、最近よく胃が痛くなることが関係するのでしょう。

『なんか言った、宗茂』

「――――っ!?」



『負けないでもう少し
最後まで走り抜けて
どんなに離れてても
心は傍にいるよ?
追いかけて、遥かな夢を…』


また、紫智様は週に一回歌を歌を歌われになります。
ザビー教だけではなく、城下の者たちの前でも歌われになります。どうも、紫智様目当てに、信者が集まっている気もするのですが……。

「紫智様ーーー!」

「とても良き歌声ですーーーー!!」

『みんなーーいつも来てくれてありがとう!これからもがんばって元気でいてね!』

紫智様の歌に元気付けられるものが多く、手前も暇があればなるべく聞きにいくようにしています。

大友の姫と言うより、大友の姉御のように見えるのだが問題も無いでしょう。
……………きっと。




『うおらあああ!?』

「ぎゃああああああああ!!!?」

道場での紫智様は、一番輝いておられる気がいたします。

相手にまったく手加減などせずに本能のままに敵を倒す姿。姉御と言うより、ここでは破壊神と言われているらしいですが……。
いや、これは問題です。

『おらおらおらあああああ!!!』

「ギャーーー!紫智様が甲斐の若虎のようになっているーーー!!?」

『うおらああああああああああああ!!?』

「誰か止めろーーーーー!!?」

……え?姫がそんな事をして怪我をしたら?
………安心してください。

今まで、一度も怪我をしたことがないので。


『次は誰だ!?』

「逃げろおおおお!!?」

『待てやゴラア!!?』

さて、そろそろ止めますか。そうでないと大友の兵が全滅してしまいます。
重い腰を上げて、宗茂は紫智を止めに歩き始めた。




『ねえ塩法師丸』

「なんですか?」

『鼻の下に何か付いているよ』

「え?何ですか?」

『口』

紫智様は暇な時、よく塩法師丸様をからかって遊んでいます。無邪気に遊んでいる姿には、信者共々心を癒されてしまいます。

「………またこんなことして!!楽しいですか!?」

『うん、すっごく楽しい』

「もう許ません!!!そこに座りなさい!」

『やーだねー』

「待ちなさーーーい!」

『けけけけけけ!無駄無駄!』

捕まらないようにヒョイヒョイと起用に避ける紫智様を必死に追いかける塩法師丸様。

体力では、圧倒的に紫智様が有利であり、すぐに塩法師丸様が疲れてしまっていた。

『はーーはっはっは!』

「その高笑いすごくイラつくのですが!?」

『ふははははは!!気にするな!』

「待ちなさい!!」

『つか、塩法師丸の方が命令口調だよね?』

「今は関係ありません!!」

『せこい!!』

………紫智様、どんどんたくましくなってしまっている気が。

余り元気が良すぎることも問題ですよ……。




『………はあ、幸せだな』

「紫智殿、今日は普段以上に遊びましたね」

今は手前と共に、城の縁側でお茶を飲んでいます。幸せそうにお茶を飲み、空を見上げたらまた笑っています。

『まあな、道場でもっと遊びたかったけど、またいつかだね』

「あまりヤンチャが過ぎないようにお願いします」

『はーい!』

元気に返事をしますが、はたして守る気はあるのでしょうか?

『あ、奥さんだ』

「え゛」

『ヤッホー』

慌てて後ろを見れば、遠くに奥の姿。明らかに笑っていない爽やかで、黒い笑顔をこちらに向けている。

「あら紫智様。宗茂とお茶ですか?」

『うん!一緒に飲む?』

「いえ、私は後ろのバカに忘れ物を届けに来ただけですので」

あ、宗茂さんが死ぬ。
死亡フラグが立った。
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