番外編

□真昼の七つ星
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 それは文月のある日のことだった。
 突然静かな……いや、主人の暇潰しという名の贄にされている女房の叫びが谺(こだま)する藤原尚秋の邸に、突如訪問者が現れた。
 先触れもなく訪れたその者はなんと、ある高貴な御方に仕える女房だと言う。
 高貴な者と言われれば皇族の方々が浮かぶが、尚秋は今上帝の明仁の従兄弟であり毎日顔を合わせているはずなので違うはずだ。
 ――しかし、それを告げるとその女房はニヤリと意味深な笑みを浮かべるだけだった。


「お前の主人が誰だろうとこの際どうでも良いが、用件はなんだ」
 埒が開かないと思ったのか尚秋が詰問に近い尋ね方をすると、その女房はまたしても口角を持ち上げる。

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