現代 恋愛
□婚約者問題
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絶叫が俺の自室の中に響き渡った。耳がキーンとなる。誰だよ絶叫したのは。
いや、俺自身だけど。
親父は耳を塞ぎ、この部屋にいたメイド、染菜(そめな)さんが、ものすごくびっくりしていた。
「はぁ、はぁ、で、どんな奴なんだよ。俺の婚約者って」
叫びつかれて、そして、反論することにあきらめて、俺は親父に尋ねた。
「ん? お前と同じ高校の子達だよ」
「あ、え、は?」
てっきり、どこかのつまらない令嬢を見繕ってきたのだと思っていたのだが。
「何だ? 令嬢でもつれてきたと思ったのか? 違うとも、お母さんとお祖母ちゃん見てみろ、お母さんは、普通の中学生だったし。お祖母ちゃんは、美人というだけの普通の高校生だったんだよ?」
「中学生から、女誑かしてたんかよ、親父」
「そこ突っ込むな」
「で、写真とかねぇの?」
「写真? ないけど?」
は――?
婚約者の写真を見せず勝手に決めるとはどういうことだ。と、突っ込みかけた時、自室のドアが開いた。
「だって、来てるんだから」