<main>鋼の錬金術師オリジナル小説
□君に贈る翼*完結*
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「気流良し、錬成陣も問題無し・・・」
くせのある髪を風に揺らせ、空を滑空している、一人の男。
男は、しきりに自分の手首を確認していた。
「駄目だよ!兄さん!!」
「離せ!!アル!!!」
「何だ・・・?」
灯台の方に目を向けると、何やらもめている二人を発見。
あの何処までも続く円形の階段を登り、外へと出たのだろうが、手摺付近でもみ合いとは、何とも危なかっしい。
などと、男が考えていると・・・―。
「とにかく、俺はっ」
何故か鎧の格好をしている者の手を強引に離した時、少年の方が手すりから勢い余って、地表へと落下していく様を、確かに見た。
「うっそ・・・!だろ!?」
翼をいち速く旋回させ、少年の元へと飛翔して行く。何とか手を伸ばし、もつれながらも掴んだ。
「つっ・・・!」
しかし、翼は二人分の重さに耐えきれず、そのまま落下。
「兄さん!!!」
―・・・・で、ここからが腕の見せ所。
「離していいぜ?・・・手」
「は??」
エドは、ニヤリと笑った。手を振りほどき、地表すれすれを狙って、両手を力強く叩いた。
すると、灯台から伸びるようにして、地表に手をイメージしたであろうクッションが出現した。